過去と忍びと今とヒーロー
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  • 九話



    出来れば来てほしくなかった日が来てしまった。

    そう。私の雄英高校ヒーロー科編入日だ。


    あのあとに家に帰りお祖父ちゃんと話をした。やっぱり私を思ってのことだったけど、自分の気持ちを素直にいったら余計なことをしたんだと青ざめてたから慰めといた。
    実家からでは学校が遠いので、この機会に一人暮らしだ。


    どうやら私の他にも他学年に編入生が一人か二人いるらしいけど、私は特例としてその人たちが行った試験はやらなかったらしい。ラッキーだ。


    真新しい制服を身に纏い、雄英に向かう。
    今日は初日ということで早めに来るよう言われているのでまだ生徒はほとんどいなかった。
    まだ道を覚えてはいないが、雄英生徒は校舎内の地図を端末にダウンロードできるらしく、今度は迷わずに職員室に行けた。


    あー………開けたくない。


    職員室の前まで来て入るのが躊躇われたが、もうなってしまったものは仕方ないので観念して入室した。


    「すみません。今日編入する浅間由紀なんですが」
    「初めまして!ミッドナイトよ!」


    開けたとたんに18禁ヒーローミッドナイトがおり、なぜかとてもいい笑顔で迎えられた。


    「フフ。あなたのことは聞いてるわよ」
    「はぁ」
    「もう教員中の話題のまとよー!」
    「へ……」
    「YEAH!こいつが噂の編入生か!」

    なにか聞き捨てならないことをいったミッドナイトに詳しく聞く前に、後ろから来た無駄に声がでかいヴォイスヒーロープレゼントマイクに肩を叩かれた。

    「噂……?」
    「あー!この子が例の編入生ですね?うわぁ。生で見るとさらに小柄ですね……」
    「こんな小さい身体であの威力を出したとは思えませんね」

    今度はスペースヒーロー13号とヒーローのセメントスが表れる。

    「は?へ?」
    「やあ浅間さん!おはよう!」
    「あ、おはようございます」
    「いやー、悪いね!あの試験は監視カメラで録ってて、あとで全教員が見て結果を決めたんだよ!」
    「!?」

    ヒョッコリ表れた校長に挨拶を返すと、混乱しているのがわかったのか爆弾発言をしでかした。
    その間にも続々と先生方が集まってきてあれこれ話している。

    「それじゃあ浅間由紀さん!君はA組ね!担任は相澤くんだから!」
    「え、」


    「よろしくな」



    なんだかつくづく、この人と縁があります。




    ___________________



    相澤先生のあとをついて廊下を歩く。


    そういえば、なんでこんな変な時期に編入なんだろう?
    入学からほとんど日が経っておらず編入というにはいささか変じゃないか?これなら普通に入学の方がいい気がする。


    なんて考えていたらすぐに教室についてしまった。

    相澤先生はなにも言わずに先に入ってしまった。仕方ないので私もそのあとに続いて入ると、一気に視線が突き刺さるのがわかる。


    「あー……このクラスに新しく加わる浅間由紀だ。浅間は特別編入生として入ることになるからな」
    「浅間です。よろしくお願いします」


    相澤先生に示された机に向かう間も物凄い見られていた。先生が連絡事項を話始めたからかそんなにあからさまなものはないが、それでも鬱陶しいものは鬱陶しい。




    「浅間さん!初めまして!」
    「どこから来たの?」
    「編入生ってどういうの?」

    HRが終わり先生が出ていったとたんに周りに群がるクラスメイト。自然と眉間にしわがよる。


    「編入なんて言いやがるが、どうせあの入試試験は受けてねーんだろ。そんなやつここでやっていけんのかよ」


    一人のがらの悪い男が言った言葉で彼に視線が集中する。


    「おい爆豪!そんな言い方ねーだろ」


    他の男子がそいつを諌めるが、爆豪と呼ばれた彼は全く相手にしていない。


    「確かに貴方たちが受けたような試験は受けていないよ。それに私はここに来る前は普通科だ」

    私の言葉に爆豪の顔がそれみたことかとこちらを見下した。


    「でも私が貴方たちに劣っているとは微塵も思っていない。むしろ短い期間でも訓練を受けているというだけで貴方たちだって数日前はただの中学生でしょう?なんで貴方が私よりも優っていると思えるんでしょうね?」
    「〜〜!てめぇ!」
    「私が受けた編入試験は貴方たちのように決まった動きをするロボットが相手なんてそれなりの能力があれば通過するようなものじゃない。私の編入試験は相澤先生と戦うことだったよ」


    最後の一言で、教室内は騒然とする。


    「え、え!?それって勝ったの!?」
    「勝てた……?どうだろう。途中で勝手に終わらされたから引き分けのような感じかな?」
    「相澤先生相手に!?スッゲー!!」








    「貴方のような人を何て言うか知ってる?"井の中の蛙"っていうんだよ」


    最大限の笑顔でそういうと、爆豪は人一人殺しそうな形相でこちらを睨み付けた。








    嘗められているのは好きじゃない。それが誰であろうと本当に私よりも優れていないのならば、こちらを下に見た時点で叩き潰す


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