十一話
モヤが晴れたかと思うといきなり放り出された。
なんなく態勢を整え着地するが、目の前にはヴィラン。
「んだよ。こっちにはガキ1匹か」
「だが女だ。楽しめそうじゃねぇか」
下卑た笑みを浮かべるヴィラン達を一瞥すると、浅間は周りを見渡す。
どうやらここに飛ばされたのは私だけで、襲撃された広場は視認できる位置にある。そう遠くない。
用意されたヴィランは数こそ多いが見る限りただのチンピラのもよう。
「うん。丁度いいや」
納得するように一つ頷くと、浅間はヴィランの方に向き直った。
転生してから、鍛錬こそ怠っていないがやっぱり実戦経験が少なすぎる。
いくら記憶があるとはいってもこの身体で動けなければ意味が無い。そして、それを養うためにはやっぱり実戦に勝るものなし。
「悪いけど、ちょっと付き合ってもらうよ」
瞬間。
浅間は敵のど真ん中にいた。
「なぁ!?」
「いつの間に!?」
動揺するヴィランを尻目に、浅間は右足を軸に一回り。それだけで周りにいたヴィランは吹き飛んだ。
「 忍びの三禁。【敵を侮るべからず】。だからね」
二ィっと笑うと何とか留まっていられたヴィランたちは恐怖に駆られた。
それは本能的なもの。
これに関わっていけない。
関われば、命を落とす。
さっきまで少女一人を相手にするという楽な仕事のはずっだったのに。
一瞬にうちに捕食者が変わった。
目の前に迫ってくる腕が。脚が。
彼らの見た最後の光景だった