デッカードが動かなくなった。
(えっ!具合悪くなった!?もしかして燃料不足?)
「デッカード!?起きてデッカード!!」
「どうしたのデッカード!デッカードてばぁっ!」
必死に呼びかける二人。
「デッカード!起きてよっ!」
「デッカード!どうしちゃったんだよぉっ!」
その声に反応したのか、デッカードのアイセンサーに光が灯る。
「…勇太」
「良かったぁ、気がついたんだねぇっ!」
「あぁ〜〜…よかった」
「美空も……私なら大丈夫だ」
「デッカード!」
ほっと肩を撫で下ろす。どっと疲れ、脱力した美空はデッカードの指の上にしなだれかかった。
「何かあったらどうしようかと…」
「ありがとう、美空」
あれ?
(デッカード…なんか、前と違うよね?)
「ねぇデッ」
「あ。デッカード!ボクたち帰らなきゃ!」
言葉を遮られた。
「…そうだ!忘れてた!」
焦った勇太が入り口に運ばれ、上に上がっていく。
「おっとヤバい!」
今日の晩御飯はコンビニ弁当で済ますかと考えつつ、美空も続いて運んでもらおうとする。
「美空」
「なに?デッカード」
「……君に会えなくて、私は寂しかった」
「っ!?」
掌に包まれ、ゆっくり顔の前に持ってこられる。
(うわぁイケメン…じゃなくて!)
「私は君に会えなくて、寂しくて…勇太に聞いた。いつ君に、美空に会えるのかを」
「ご、ごめんデッカード」
「いや…勇太から、君は高校生ということで、自分より忙しいのだと教えられた」
「…確かに自由な時間は少ないかな」
やりたいことも、やらなきゃいけないことも多くなる。
大人になればもっと。
「私は…静かに、穏やかに暮らしたいからね。その準備をしてるんだ」
「……」
何か言おうとするデッカード。
「美空お姉ちゃんまだー!?」
「えっ、あ…今行く!」
通気口の蓋を開ける。
「デッカード。また明日」
「!…会いに、来てくれるのか?」
「うん。……え、もしかして嫌だった?」
「そんなことは無い!」
ぐわぁっと近づく顔。
「うぉっ!…ありがとうデッカード」
「明日の何時頃に来る?学校はあるのか?またいろんな事を教えてくれるか?」
「…ふふっ、あははははっ!!」
「美空?」
「なんか、遠足を楽しみにしてる子どもみたいだね?必ず来るよ。明日は学校休みだから…お弁当持って午前中に」
「わ、分かった!」
「忙しいとか理由付けてあんまり来なくなってて、ごめんなさい」
そう言う美空。
「私の気持ちの問題だったんだよね…」
「美空?」
「やっぱり忘れないで。デッカードのこと、全部受け止められるように、頑張るから」
(私も、みんなも身勝手だから)
「……君がそう言うなら」
「うん。それじゃあ、ごめんね…大好きだよ、デッカード」
「!?」
「じゃあね〜!」
「……また明日。美空」
指先に悪戯にキスした彼女は、自分のしたことに照れながら上に登っていった。
(……!?)
(あああテンション上がりすぎてなにやらかしてんだ明日どんな顔して会えばいいんだ!)