朝早く学校に寝ぼけ眼で登校する美空は、登校しすぐ保健室に向かう。
実は病院と学校側から健康に気をつけるよう言われた彼女は、退院直後からこうしてお世話になった病院に勤めていたことのある先生に、高校の保健室で簡単な問診や血圧を計ったりしてもらっているのだった。
「今日も問題なしよ!」
「ありがとうございます」
「何かあったらすぐ教えてちょうだいね?」
「はい。丹波先生」
「ヒロちゃんで良いわよ、もう〜」
彼は丹波洋美(たんば ひろみ)先生。
通称ヒロちゃん先生だ。
ちなみにこの口調だけど丹波先生は男。心が乙女な彼は一時期PTAと壮絶なバトルを繰り広げたとかないとか…。
でも生徒からの信頼は厚いため、関係は良好。保健室は休み時間も人が絶えない。
(そのせいで朝早く来る羽目になってるんだけどね…)
診察を終え、朝礼の時間まで先生と談笑していると話題を振られる。
「そういえば白星さんはどうするの?二年生の宿泊研修。あと制服」
「あぁ」
忘れてた。
私の着ている制服は転生前に着ていたブレザーなのだ。
デザインも気に入っているからリボンだけ今の学校のものに替えて、そのまま着続けている。
「宿泊研修は、まだ自分の住んでいる地域から長距離・長時間離れることに不安を覚えるので…欠席しようと考えてます。制服は治療費でお金が無いのでこのまま通学します。校長先生からは許可を頂きました」
と、いう建て前があるのだ。
(まだ、この世界に溶け込むのが怖いのかな…)
「白星さん?」
「は、はい!」
「予鈴が鳴っちゃったわよ?」
「え゛!?」
ぼんやりしているうちに、もうそんな時間が経っていたのかと驚く。
美空は急いで教室へ向かうのだった。
放課後。
勇太は約束を果たすため、急いで姉のあずきと美空の通っている高校に走っていた。
少し離れた場所にある高校の校門に辿り着く。息を整えていると下校してきた生徒に話しかけられた。
「どうしたのボク?ここに何か用?」
「あ、えっと…美空おねっ……白星美空お姉さんは居ますか?見掛けましたか?」
「あぁ、君が……」
「?」
首を傾げる勇太。
「先生と話していたよ?忙しそうだったけど…伝言する?」
「いいんですか?」
「うん」
「じゃあ、【秘密の場所に今日必ず来て】って…お願いします」
「うん、伝えてくるよ。遊ぶのもいいけど、君も暗くなる前に帰るんだよ?」
「はーい!ありがとうございます!」
元気よく返事して出て行く勇太。生徒はその後ろ姿を見て呟いた。
「誰が伝えるか、バーカ」