事件解決で勧誘来る!?(3)

「警視庁副総監、東(あずま)一門だ。…掛けたまえ」
「はい。失礼致します」

学校に来た警察官に連れられ、警視庁に来た美空は。
あのアニメで見た東副総監と対面していた。

「確認だが、君が白星美空だな」
「はい」
(…悪いことしていないのに取り調べされる気分だ)

ぼんやりそう思いながら彼を見つめていると。

「君を調べたが、半年前にコンビニ強盗を捕まえているな」
「え?…あぁ」

(そういえばそんなこともあったな)

「あ、もしかして…すみません。ガムテープの代金が足りませんでしたか?」

ガクッと立っていた副総監がこけた。
何気に愉快な人かもしれない。

「ち、違う。金額はむしろ余っていた」
「?じゃあ募金箱に入れといて下さいとお伝え頂けますか?」
「あぁ……ゴホンッ!話を戻そう」

咳払いして告げた彼の言葉に、美空は目を見開いた。

「君を警察官にする話が出ている」
「えっ!?」

声を上げる。

「調べた結果…君は半年前、友永勇太少年と共に警察の施設に侵入し、デッカードと接触していたな」
「はい」
「ふん…正直だな」
「事実です。すみませんでした…何故、私を警察官にする必要があるんですか?」
「…君はデッカードに心を芽生えさせ、先日の事件で友永少年と共に行動し解決に努めたからだ」
「あぁ…」

何だそんなことかと言いたげな美空の受け答えに憤慨した東副総監が口を開く。が、その前に美空が話し出した。

「貴方は私を見極めたいわけだ。理由は大方友永勇太君が警察官になったことで警視庁内でも意見が割れているから。東さんは反対派でしょうね真面目そうだし。また警察官になる際には家族や近辺に犯罪者がいないか調べるから、調べたら事故に巻き込まれた私の記録が出てきた。私が強盗事件を解決したりデッカードの事件を解決する手助けをした為上層部が興味を持ったんでしょうね?まだ幼い少年を警察官にすると言い出し、更に記憶障害の高校生をも警察官に配属させようとしている総監に危機感を抱いた」

違いますか?と問いかければ無言が返ってきた。無言は肯定とみなす。

「話は終わりですか?なら帰ります」
「は?」
「警察官になって欲しくないんでしょう?」

あっさりと言う美空に呆然とする。あっさり過ぎて逆に焦る。まるで[お弁当にこれ入れて欲しくないんでしょう?]と言う母親のように気軽で些細な会話のようだ。
歩き始めた美空の背に東副総監は叫んだ。

「い、いいのかね?!」
「何がですか?」
「君は!他の警視庁内の警察官が、喉から手が出るほど欲しがる役職に就くチャンスを捨てるのか!?」

ピタリ。
彼女の足が止まる。

「役職か──キャリアに繋がる役職より、デッカードと友永勇太を守る力が奮える役職を、私は希望します」
「!!」
「警察官は、正義と市民と平和を守るんでしょう?なら、平和を守ってくれる彼等を、私は守りたいです。キャリアや自慢して立場ひけらかしたい輩は勝手に、ずっと、何時までも猿みたいに騒いでろ」
「なっ…」
「警察ってこんな感じなんですか?なんか失望って感じです。では失礼します。さようなら東さん」

迷い無く美空は小会議室から退室していった。
東副総監はその潔い後ろ姿と小会議室の扉を、衝撃と共に暫くの間見つめ続けたのだった。