日々寝不足気味な美空は若干猫背で警視庁の玄関から出る。
するとちょうどよく、離れた交差点を曲がっていくデッカードの姿が見えた。
「美空!」
「…」
「おーい!美空お姉ちゃーん!」
「……おぉ、勇君にデッカード」
(わざわざバックして来なくていいのよ…)
内心げんなりしている間にコソコソと話す二人。
「デッカード!もしかしたら!見せたい"モノ"って美空お姉ちゃんかもしれない!」
「そうかもしれないな勇太!」
ちらりと彼女の方を見ると。
やることは無いといった感じで帰ろうとしていた。
「えぇっ!?」
「待ってくれ美空!」
急いで引き止める二人。
「おや、勇太君にデッカード。何をしているのかね?」
「冴島さん!」
「警視庁に美空…さんがいらしていたので」
「ほう。貴女が白星美空さんか」
「は、はい。あはは…」
振り向いた美空は笑顔が引きつり逃げるために抜き足差し足。その姿はまるで泥棒のよう。
「そういえば今日だったな…君に警察官として働いてくれないかと打診する日は」
「やっぱり!」
はしゃぐ勇太と笑顔が引きつったままの美空。二人の様子を見て疑問に思うデッカード。
「美空?」
「デッカード…私は警察官にならないよ」
そう言った途端。
「「「えぇぇっー!?」」」
デッカード、勇太、冴島総監まで驚きのけぞり叫んだ。
「半年前にコンビニ強盗を捕まえていることと、デッカードに心を芽生えさせ、先日の事件解決に努めたことが理由だと副総監さんに言われました」
「あぁだから君にも」
「無理です。デメリットが多すぎます」
「「デメリット…?」」
同じ仕草する二人に説明する美空。
「まず最初のデメリットは…半年前デッカードに出会ったよね」
「あ、あぁ…」
「つまり警察の敷地内の建築物に無断で侵入。2つめは私が記憶障害だということ」
「あ!」
忘れてた、というように声を上げる勇太。
「自分の名前すら分からない状態で、周囲の方々から私のことを色々教えて頂きました」
「…」
「自分のことすら分からない奴が警察官になる」
マスコミや一般市民、警察内部で不満が噴出するだろう。
責任問題がどうとかも。
「周囲に多大な影響を及ぼす恐れがあります。簡単にお返事は出来ません。ただでさえ記憶障害で勉強が遅れてるのに勇太君の家にマスコミが来てうるさいし警察官になったらマスコミは私のことを調べ上げるでしょう?…めんどくさ」
「め、めんどくさって…白星さん」
最後の言葉にガクッとこける冴島総監。
「ま、まぁ今日はこのぐらいにして…白星さんも見て行ってください」
「いえ、私は」
「そうだ!冴島さん!僕達に見せたいモノって、美空お姉ちゃんじゃないの!?」
「は?」
「え?そうか…デッカード、君も勇太君を驚かせようと思って内緒にしてたんだな?」
「はぁ…?」
首を傾げるデッカードと美空。
フフンと笑いまた帰ろうとしていた美空の肩を押し、冴島総監はリモコンで車庫のシャッターを上げた。
シャッターが上がり現れたのはでっかいトラック。
いやコンテナ車だ。
(車高が高い…)
「これがジェイローダー。デッカードのサポートメカだ」
デッカードはこのジェイローダーと合体して、無敵の巨大ロボ【ジェイデッカー】になると冴島総監が言う。
「無敵ロボ?」
「ジェイデッカー?」
「うん。ジェイデッカーには飛行能力がある。つまり空からの敵にも十二分に対応出来るのだ」
「へぇ〜」
「空を飛べるんだって!すごいじゃないかデッカード!」
「あ、ああ」
「…?」
少しうろたえたような返事をするデッカードに美空は訝しんだ。
(あ。確かデッカード…)
なんて考えているうちに気づけば大の大人が目の前で変なポーズをしていた。