思わず半目になる美空。
対する冴島総監はめっちゃいい笑顔で、勇太も半ばヤケクソ気味にポーズをとっている。
「…」
「…」
「やりませんよ」
「…」
「…」
「…」
美空は数秒後、救いを求めるようにデッカードの方を見た。
変形していないデッカードに。
「すいません。私のメモリの中に合体に関するデータが無いんです…」
「なんだと?」
「じゃあデッカードは合体できないっていうの!?」
まさかのカミングアウトに驚く。張り切り期待していた二人は肩を落とし脱力した。気まずそうにヘッドパーツを掻くデッカード。
美空は励ますように、彼の脚部パーツを2、3回撫でた。
「デッカードのせいじゃない」
「美空…」
「AIの電源着けたり消したりされてたんだから、何か不備が起きても不思議じゃないと思うよ?」
「…そうだな。一度検査して原因を調べよう」
冴島総監が携帯で誰かに連絡を取ると、これからデッカードは警視庁内部にあるブレイブポリス整備用の部屋で点検することとなった。
「さぁデッカード。勇太君も」
「はい!」
「じゃあ私はここで」
「あっ、白星さん!」
そそくさと、今度こそ帰ろうとする美空。
(部外者がこれ以上いても良いことはないだろう)
だが。デッカードが美空を引き止める。
「美空、待ってくれ」
「どうしたの?デッカード」
振り向いた彼女が見たのは、何故か恥ずかしそうにしているデッカードだった。
「デッカード?」
「美空…」
「うん?」
体を屈め、後ろにいる冴島総監と勇太に聞こえないように話しかけてくるので美空も自然と小声になる。
「実は、ふ…不安なんだ」
「えっ!?」
驚いて思わず大きな声が出てしまいパッと口を押さえる。後ろの二人を見ると不思議そうにしているから、どうやら聞こえていないみたいだ。
「君の気持ちは分かった。無理に警察官にならなくてもいい。だが今だけ、私の点検作業を見守ってくれないだろうか」
「…」
美空は全身でため息をついた。
(呆れられてしまっただろうか…)
「分かったよ、デッカード(ぐうかわ)」
「あ、ありがとう美空!」
持ち上げられた美空は顔の頬に当たるパーツを撫でながら言った。嬉しそうにそのままデッカードの手に乗せられ、彼女は整備室へと向かうのだった。
「おう冴島の旦那、よく来たな勇太君…っと!?」
「藤堂。彼女は見学だ」
「おまえさんあの時の!」
「あの時?」
「……っ」
思い出した美空の顔が強ばる。
彼はデッカードが再フォーマット、記憶を消された時に作業を指示していた、主任の藤堂だった。