「あぁ。勇太君と一緒に忍び込んでたのをデッカードの再フォーマット時に見つけたんだ」
「あ、あはは…」
「その節は大変ご迷惑をおかけしました」
デッカードの掌の上から降ろしてもらい、床に正座し頭を下げ謝罪する。
「お、おいおい…顔を上げな嬢ちゃん。こんなとこで座り込んで、女の子が体を冷やしちゃいけねぇ」
「ですが」
「もう怒ってねえよ。だが今日は一体…」
「今や彼女は勇太君と同じく警察官になるかならないかというところにいるんだ。まぁ、まだ未定だが…今後のための下見だ。白星さん。コイツは藤堂。私の腐れ縁で、デッカードの設計主任だ」
「どうも」
「あ、はい」
立ち上がり挨拶すると、冴島総監に肩をポンと叩かれそのまま組まれる。
(いや、東副総監の時に断ったんだけど…)
苦笑いしていると。
「冴島の旦那。こんな若い嬢ちゃんに、そんなベタベタ触ってたらセクハラで訴えられるぜ?」
「んなっ!?」
苦笑いしていた美空の表情からか、そう指摘されバッと離れる総監。
気まずそうに此方を見る本人に勿論そんな意識はなかっただろう。しかし、勇太君にフレンドリーに接する彼はボディランゲージも多く、対応に少し困るのも事実。
「ありがとうございます…でも、セクハラというより」
「?」
「お、お父さんってこんな感じなのかなって……」
「えっと、美空お姉ちゃん…」
「あ、すみません冴島総監!」
「お、お父さん…」
記憶に無いその温かさに肩の力が抜け、安心したのも事実。
彼のボディタッチに性的なそれは無く。
純粋な、まるで娘か孫に接しているような感じがしたのだ。
「記憶無いから分からないけど…なんか、安心感があって。ほら、退院してから今まで、勇太君達とご近所さん達と、デッカード以外に。私に純粋に、真摯に接する他人に会うのは初めてだったと思うし…」
今までの
「だから、ありがとうございます。冴島さん」
「…」
「…あれ?」
「旦那、…冴島の旦那!」
「ハッ!あ、あぁ…」
「?」
いきなり反応しなくなった冴島総監を、藤堂設計主任が映らなくなったアナログテレビを直す時のように叩く。
「お嬢ちゃん」
「白星です。白星美空」
「あ〜…」
「あはは、すみません。藤堂設計主任さんの言いやすい呼び方でいいです」
「あぁ。お嬢ちゃんもそんな畏まらないで、今みたいに笑ってな」
「へ?」
「険しい顔より、そのほうが年相応だ」
ポンポンと頭を撫でられ美空の顔が赤くなった。
それからデッカードの超AIの点検が始まったが、顔を赤らめていた彼女のことが気になって仕方ないデッカードだった。