「ふーむ…」
「どうだ、藤堂」
「確かにジェイデッカーへの合体指令のデータはあるんだがなぁ…心が生まれたために思考回路が変化しちまったんだろう」
「そうか…合体データは呼び出せそうか?」
「いや、むやみやたらに弄くるのは危険だ。またデッカードの記憶データが飛んじまったら困る」
人間の脳と同じく未知な部分がある人工知能・超AI。無理に合体データを引き出すのは危険と判断した藤堂主任は、シミュレーションシステムを用いてデッカードの合体パターンを作成することにし、冴島総監もそれを了承した。
コンテナ車の中。
「いいかね、勇太君?お嬢ちゃん」
「はい」
「え?あ、はい」
(聞いてていいのコレ?)
構わず説明が始まった。
「シミュレーションで完成した合体データは、この警察手帳を通してデッカードに伝えられる。これでジェイデッカーに合体出来るって段取りさ」
「わぁあ…」
「へぇ〜…すごいね」
「うん!」
なんだか藤堂主任が孫に機械いじりを教えているおじいちゃんみたいで微笑ましくなった美空。
説明を聞いて笑顔でデッカードに会いに行った。
「勇君と頑張ってね、デッカード」
「ありがとう、美空。藤堂主任が時間はたっぷりあるから、ゆっくりやってみろと」
「そっか」
ところが。
整備室の外から早足で歩いてきた冴島総監が放った言葉で状況が変わる。
「残念ながらそうも言っていられなくなった」
「え?」
「事件だ」
警察庁に送られた映像に映る男。
【闇の魔人:キャトー・ノリヤス】
科学で解明できない陰陽術を使う。
美空はぼんやりと画面を見ながら思い出した。
《日本国民に告ぐ。政府はこの闇の魔人キャトーに降伏し、日本全土を我に与えるのだ。要求に従わぬ場合は、エアマニア共和国から奪ったこの"バルバロッサ"で東京を爆撃する》
「なっ、なんだってぇー!?」
《既に我等は東京に向かっている。後、一時間。我が帝都に着くまでに、答えを選んで考えておくがよい》
不気味な笑みを鼓膜に残して、映像は切れた。
「くっそぉ〜っ!ジェイデッカーに合体さえ出来たらっ!」
「勇太君!」
作戦司令室から飛び出していく勇太。
美空は、すぐ目線を巡らせた。
慌ただしくなる司令室で忙しそうに動く冴島総監と藤堂主任。
「…」
大人達に気づかれること無く、美空は部屋から出て行った。
「すみません」
「はい、どうされましたか?」
「私、白星美空と申します。あの…ブレイブポリスの警察官採用の件で来ました」
「あぁ!貴女が」
「はい。でも皆さん忙しそうなので…これを冴島総監に渡していただけますか?」
「お任せください」
「ありがとうございます。じゃあ、失礼しました」