警視庁内では冴島総監と藤堂主任がエアマニア共和国に説明を求めている間、勇太は何度も合体シミュレーションを試していた。
「どうしてなんだ!どうして上手く行かないんだよ!」
焦りから操作に精細さを欠く。
もうバルバロッサの東京到着まで後20分も無い。
シミュレーションを試していた勇太は心が挫けそうだった。
頼りになりそうな美空はいない。
【事件が起きてしまったから、ご近所さん達に避難指示してきます】
という内容の折り畳まれた書き置きが、いつの間にか置いてあったのだ。
デッカードに励まされ、もう一度合体シミュレーションに挑戦する。
しかし、後少しの所でタイミングが合わずに失敗した。
「ダメかぁ〜…」
肩を落とす彼とデッカード二人に、コンテナ車にやってきた冴島総監が告げた。
「合体作業を中止するんですか!?」
「犯人の要求を受け入れることが、政府首脳の会議で内定したのだ…」
極めて不本意そうに語る冴島総監。
「冴島さん。ボクとデッカードを現場に行かせてください!」
「しかし…」
「お願いします!」
二人は無理はしないという条件付きで、出動することになるのだった。帝都に向け、上空を飛行要塞バルバロッサで飛行していたキャトー・ノリヤス。
「この山を越えれば、目指す帝都はすぐそこ…ん?」
地上から自分に向かってくる警察車両を見つけ、眼光が鋭く剣呑さを孕んだ。
それに立ち向かうのはデッカードと勇太のたった二人。
「ホールドアップ!ブレイブポリス、デッカードだ!闇の魔人キャトー・ノリヤス!逮捕する!」
「フッ、我の邪魔はさせん…」
キャトーが念ずると周囲の戦闘機からデッカード達に攻撃が開始された。
デッカードとジェイローダーが反撃するが、上空からの集中放火に形勢は敵に傾く。
更にフライトバトラーシステムにより変形した戦闘機から発射されたミサイルは、デッカードとジェイローダーに命中し、中にいた勇太は悲鳴を上げた。
敵の猛攻から逃げる二人に通信が入る。
《勇太君!そのまま本庁に戻れ!やはり合体なくして勝利は無い!》
「でもっ!」
「総監。私は今ここで、合体を試してみたいと思います」
《なんだと!?》
驚く冴島総監。その横から藤堂主任が割り込む。
《馬鹿言うな!合体はデリケートな作業だ!そんな無茶が出来るか!!》
「勇太が合体シミュレーションに失敗したのは、相手がコンピューターだったからです!私が相手ならっ!」
自分には心がある。互いに思いやり、守ろうとする心が。
デッカードがそう主張すると、勇太は言い募る大人達を無視し映像を切った。
「やろう!デッカード!」
「よし!勇太!」
土煙が辺りを漂う。
ジェイローダーから降りた勇太。するとそこに。
「勇君!」
「…えっ!美空お姉ちゃん!?なんでこんなところにいるのさ!」
バイクに跨がった美空が到着した。
「勇君とデッカードが心配で。勇君の姉二人とご近所も心配してたからさ……バイクは(お店で)借りた」
「借りた…まさかっ、む、無免許ー!?」
「免許はあるよ。ほら」
「「……本当だ」」
「デッカード、お前もか…まぁ元高校三年生ですからね。記憶失う前の私が試験受けてたみたい。ってそんなことより!」
エンジンを唸らせながら言う。
「合体、すんでしょ?」
「「あ」」
「頑張って、ボス」
「えっ!お姉ちゃん刑事になるの!?」
キョトンとする美空。
「メモに書いてなかったっけ?本庁の人に書類渡したし…」
「見てないよぉ?」
「私もだ」
「え〜?」
そう言う美空の鞄から、警察官採用に関する書類が、全て記載した状態で出てきた。
「…ごめん。間違えた」
「うっかりさんだな、美空は」
「だね!」
「あはははっ!…言い返せない〜!ジェイローダーに載せといて」
「いいとも」
戦場で三人が笑う。
「ということで…只今より白星美空。犯人確保に向けて二人を援護します!さぁ、頑張って。二人とも」
「うん!」
「あぁ。…勇太よ。私は君になったつもりで動く。君は、私になったつもりでジェイローダーをコントロールしてくれ」
「うん。わかったよデッカード!」
「行くぞ、勇太!」
「オッケー!」
土煙が晴れる。
二人は動き出した。