2回目のファーストコンタクト(1)

"かつて薔薇色の未来と言われた21世紀。
しかし、科学の発展は人類に明るい未来だけを与えはしなかった。

最新の科学技術はロボットを使用した凶悪犯罪や、バイオ怪物の出現といったハイテク犯罪を生む。
また、これまで考えられなかった災害までも引き起こした。

これらに事件に対して警視庁は新たな警察組織の設立を決定した。
それが、超AIを搭載したロボット刑事チーム『ブレイブポリス』である。"



「あずき姉ちゃんがのんびりしてるから遅刻だよぉーっ!」

住宅街にある一軒家から飛び出してきた少年、友永勇太は、ランドセルを揺らしながら走り出そうとしていた。
しかし、遅刻しそうな彼は自宅の駐車スペースに目をやると、"彼"に乗り込み声を掛けた。

「おはようデッカード!」
「おはよう、勇太」
「ねぇ、大変なんだ」
「どうした、事件か!?」
「えっ!?いやぁ…ごめん!」
「あっ、勇太!」

本当は遅刻していて学校まで送って欲しかった勇太だったが、罪悪感か遠慮か。
結局デッカードには言えず、彼は自分の足で学校へ向かった。勇太の言いたかったことが分からず混乱していたデッカードだったが、勇太の姉達が同じ内容で乗り込んできたときに、なんとなく理解した。

道中、走る勇太の背中を見つめる男を見つけ、解析に掛けたが、途中で範囲から移動されたため解析ができず、犯罪データベースとの照合ができなかった。
さらに急ブレーキを掛けて止まってしまったため、早く登校したい友永くるみにハンドルを鞄で叩かれてしまった。
朝からタクシー代わりにされ、とばっちりを受けたデッカードである。

「…すこし早いが、このままパトロールをしてから警察庁へ行こうかな」

緊急時の呼び出しが無い日は、いつも四人が登校した後に警視庁へ向かっている彼は、一度(事件ではないが)出動してしまったため、手持ち無沙汰だった。
自分の考えに従いパトロールを始めるデッカード。
けれど、もう一人。
暇を持て余したものがいたことを、この時のデッカードは知らなかった。

「へっへ〜、上手く逃げられたぜ。たっく朝から晩までデッカールームの建設なんて、かったるくてやってられっかよ」

黄色いショベルカーが街中を走っている。
しかし、その運転席に人はいない。その黄色いショベルカーはブレイブポリスの一人、パワージョーであった。
彼は自分が製造されてすぐの事件以降平穏な日が続き、彼等の仕事場【デッカールーム】の建設ばかりで、うんざりしていた。
(アレをやれコレをやれって、気分転換も必要だっつうの)

「アレは犬…種類はブルテリアね」

街中にはいろいろな物が溢れていて、データと比較して観察すると楽しくなってくる。
(実物で見たほうがおもしろいな)

続けて猫、スズメ、生活している人たちを観察していると、その中に見覚えのある子供を見つけ、パワージョーは思わずその傍の道で急停車してしまった。

「あれ?パワージョー。こんなとこで何してんの?」
「え?え、いやぁ…あのう……俺はパワージョーなんかじゃねえよ。通りすがりの、ただのパワーショベルだよ」
「あのねぇ…ただのパワーショベルはそんな言い訳しないだろぉ」
「あ…バレちまったらしょうがねえ」
「あったりまえだろう!」

パワージョーは笑って誤魔化した。
嘘をつくことが苦手なところは、お互い似たらしい。
少しの間談笑していた二人であったが、そんな勇太を影から観察していた男がいた。
それはデッカードが見かけたあの不審者、ある種の世界では有名な【闇の仕事人】、ムッシュ・モンドーであった。
ロボット犯罪を解決し有名となったブレイブポリスは、犯罪者達から妬まれるようになっていた。
彼は、ある筋からの依頼で勇太の暗殺を企て、機会を窺っているのだ。

さらに。

「今日は白星美空は一緒ではないようザンスね…」

ムッシュ・モンドーは美空の命も狙っていた。