「見せたい物は…これだ」
「っ!」
勢い良く取られた布の下から現れたのは新品と思われるバイク。
「すごい…かっこいい!」
「このバイクはお前さんのだ」
「え、え?」
「免許持ってるって冴島のダンナから聞いてな」
「い、いただけません!こんなに高価な物!」
焦る美空。
横にあるバイクの流線型フルカウリングのボディはイケメンで好みドンピシャだが。
(子供になんて物贈ろうとしているんだ!)
「お気持ちは嬉しいですけど、平等性に欠けて、他の警官の方々の不満を煽る可能性があるし…受け取れません」
「…」
ざわざわと周囲が騒がしい。
せっかくの好意を無碍にして、生意気だと思われたんだろう。
「…あっはっはっはっはっ!!」
「!?」
「お前さんらの予想は外れたな!」
「そう、ですね」
「?」
何の話やら。
美空は話が分からなくて混乱した。
「えっと」
「すまねえな嬢ちゃん。お前さんを試させて貰った」
「試す?」
(どういうことだろう?)
「嬢ちゃんは勇太君と一緒にデッカードと出会ったんだろう?」
「は、はい。デッカードと勇太君は大事な友達です」
「んで、助けようと生身の人間が犯罪者の操るロボットとデッカードの間に入ったんだよな。まだそれを知らない奴らがいてな」
どうして美空がロボット刑事課に所属になるのか分からない人達もいたのだ。
実際その場面を見ていないんだから、それもそうだろう。
「どんな人間かは、自分で見た方が判断できるだろう?」
「確かに」
「噂に振り回されやがって…」
「噂?」
「嬢ちゃんの親がお偉いさんにコネ持ってて、嬢ちゃんはとんだワガママ娘でそのワガママで配属になったんだとか…まぁ、いろいろあったぞ?」
「あらま」
話に尾鰭が付きすぎてぶっ飛んでる噂にそれしか言えない。
「じゃあ嬢ちゃんがそんな奴じゃねぇって分かったところで、改めて…このバイクは嬢ちゃんのだから、受け取ってくれねぇかな?」
「…」
(でも…やっぱり)
「ちなみに上層部で許可は取ってある」
「……え?」
「やっぱり女の子だし、デッカードが居るっつても四六時中一緒に居れる訳はない」
「学校もありますし」
「だろう?だから安全面と機動性を考慮して、ちょうどバイクの免許を持ってるってんで俺等が開発、設計したわけよ」
「み、皆さんが…」
その事実に周囲を見渡せば。
整備士はみんな照れ臭そうに、でも誇らしそうに胸を張っていた。
「皆さんありがとうございます!大切にします!」
「そうしてくれ!」
「気をつけて乗れよ〜」
口々に掛けられる暖かい言葉に、自分も暖かい気持ちになる美空。
「まぁ迷子になっても、バイクにカーナビ付いているから安心だよな!」
「発信機も防犯ブザーも付いてるし!」
(…ん?)
「発信機?」
「いわゆるGPSだな。分かれて現場に急行する場合、もし通信が取れない状況でも安心だろ?安否確認にもなるしな」
「おお〜!」
すごいすごいと手を叩く。
整備士達と藤堂主任は嬉しそうに笑うと、饒舌にバイクの他の装備も語り出した。
「スモークスクリーンはワイド型だ」
「色はメインが白に」
「勿論防弾だぜ!」
「す、すごいですね」
「ここのボタンを押すとだな」
しばらく美空は、整備士達の熱い持論などを何時間か聴くことになるのだった。