2回目のファーストコンタクト(3)

所変わって美空が授業を受けている高校。

「いいな〜体育」
「美空ちゃん。足の具合はどう?」
「まあまあかな。捻った時は色変わっててヤバイ!って思ったけど、折れてないし。松葉杖はなるべく足に負担をかけないようにしなさいって病院から貸してもらったんだ」

だから今日の体育の内容、バレーボールの試合はできないのである。
美空は体育館のステージでゴロンと寝転ぶと怠け始めた。

「ひーまーだー!」
「あはは」
「あずきちゃぁ〜ん。私今事務仕事ばかりだし、このまんまじゃ体力落ちちゃうよぉ」
「そうねぇ…軽くラリーでもする?」
「やった!」

先生に許可を貰い、ステージ上でレシーブのみのラリーを行っていると辺りがにわかに騒ぎ出す。

(いいなぁ〜、試合盛り上がってんなぁ)

「何あれ?」
「蜂だ!」
「でかくね?!」
「きゃあああ!こっち来た!」
「うわああああ!」
「窓開けてたからなぁ。うおっ!?」
「お前等頭隠せ!」

(スズメバチだったら危ないよね)

美空は様子が気になり、ボールをキャッチして騒ぐ声の方へ顔を向けた。

「(手のひらサイズの大きさの蜂とか)でかすぎじゃね!?」
「美空ちゃん!」
「!」

あずきが美空の名を呼ぶ。
彼女は咄嗟にあずきに覆いかぶさるように右に避けた。鋭い針が後ろの壁に刺さる。
美空はあずきに自分の着ていたジャージの上着を被せたが、鋭利な針は簡単にそれを貫くだろう。

低い羽音を立ててはいるが、その身体は精巧に機械で作られている。
遠くから見れば本物のスズメバチに見えるそれは狙いを定めて滞空していた。

(4話ですね!分かります!)

悟った彼女は後ずさる。
ムッシュ・モンドーが名づけた仕事人ロボ【アディントン】は動きに反応し、一直線に美空に襲い掛かった。

(後ろにはあずきちゃんが!)

「うわぁあああっ!」
「美空ちゃん!!」
「ぐぅ…このやろ!」

手の中でびちびちと腹を動かすアディントンの針から何かが滴る。

(きっと毒だぁーーーーいやーーーー!!!)

渾身の力を込めて、彼女は針をすぐ横の壁に突き立てる。針の着脱ができないのだろうか。仕事人メカはもがいている。傍らに落ちていたボールを拾い、壁から離れながら美空はあずきに声をかけた。

「あずきちゃん、トス上げて」
「えっ!?」
「…あぁ〜、上なら何処でもいいからさ」
「は、はい。分かりましたわ」

あずきは困って美空を見たが、真剣な表情の彼女に頷き、自分の上に放り投げボールをトスをする。
いい高さに上がったボールを見て、美空は腕を振り下ろした。

「オラァアアアッ!!」

バレーボールはアディントンの頭部にぶつかり、バラバラになった。

「敵将!討ち取ったりぃいい!!」
「「「「うぉおおおおおお!!!!」」」」

※此処は合戦場ではありません。

「おい白星!友永!無事か!?」
「大丈夫です!……私を狙った可能性が高いです」
「!?」
「担任に連絡後事件の調査に向かいます。もう授業も終わる時間なので、生徒に詳細は伝えないでください」
「……無事ならいいんだ。今日の体育はここまでだ!整列しろ〜」

返事は無かったが、言うとおりにしてくれた教科担当の先生に美空は一度肩の力を抜く。更衣室で着替えを済ませ、最後まで残って敵が仕込まれていないか確認を行う。

(更衣室には仕事人メカはいない、か)

「美空ちゃん…」
「あずきちゃん。皆には」
「分かってますわ」
「ありがとう。次鷹谷先生だから軽く説明してから行くね」

松葉杖を突きつつ迷い無く教室へと歩みを進め、教室の扉を開けると。

「あ」
「……」
「すっげー!!」
「ブレイブポリスだ!!」

窓の外から教室内を覗くパワージョーがいた。