「お前等〜もう席に、うぉっ!?」
パワージョーを見て担任の鷹谷が驚く。
事件の要請により此処に来たのだろうか。
始業のチャイムはもう少し先だが、混乱は他のクラスにまで飛び火することは明らかだ。
美空は視線を送ってくる担任に眉を下げた。
「白星、これはどういうことだ」
「えっと…」
担任の声色は困惑の他にどうにかしろと、事態の終息を願う懇願が含まれていた。
小学校のように諸手を挙げて歓迎とは行かない雰囲気のせいか、パワージョーもなんだか大人しい。
「ありがとうパワージョー。迎えに来てくれて」
「え」
「そうなのか?」
「はい。足がまだ治っていないから事件が起こってもバイクで行けないので。デッカードは勇太君のもとに向かっている頃でしょう」
「事件か…気をつけるんだぞ!」
「はい。じゃあ行ってきます。行こう、パワージョー」
「あ、あぁ」
窓から美空は教室から出る。
クラスの面々に見送られ、二人は高校から去った。
「君の名前はパワージョーで合ってるよね?」
「あ、あぁ。そういやぁ、名前決まってから話すのは初めてか?」
「うん。皆の心が宿った時検査入院してたし…」
「そうか。なら改めて。俺の名前はパワージョーだ」
「私は白星美空です。これからよろしくね」
怪電波の影響でメイドイン藤堂主任達のバイクが故障し、さらに怪我のため事件時とっさに動けず危険ということで、デスクワークと勉学に励むよう冴島総監に言われていた美空。作業者の出入りや工事の進捗、ビルドチームの様子などは耳に入っていたが、彼女自身がその場に赴くことは今まで無かった。
「…あの時は悪かった」
「え?」
「ガイゾナイトに操られていた時、アンタを追い掛け回しただろ。そのせいで、足、怪我して」
「でも、その後に助けてくれたでしょ」
「?」
「瓦礫の山から落ちたとき。覚えていない?」
「……あっ」
「手に乗っけてくれて嬉しかった。だからそんなに気にしないで?捻挫、ほとんど直りかけだし」
そう言いながら美空はパワージョーの手の上で湿布が貼られた足をブラつかせた。
「お、おいっ!危ないって!」
「大丈夫だって。あ、パワージョーは怪我していない?最近事件に着いていけなくて、皆の様子も直接見ていないから心配でさ」
「俺達も大丈夫だ。でも、最近部屋作ってばっかりで飽きたぜ!」
「だから学校に来たの?」
「お、おう…」
「そっか。やーいサボり〜」
「うっせぇよ!」
「高校は小学校に比べて 規律が厳しいからなぁ、来るなら事前に申告とか手続きがいるんじゃない?勇君の小学校に行けばよかったのに。きっと楽しめたよ。あ、それとももう行った?」
固い手の中で笑う美空。
それとは反対の手で、パワージョーは気まずそうに頬を掻く。
思い出すのは、不機嫌そうな声と彼の泣き顔。
「…」
「何かあったの?」
「──小学校は楽しかったぜ。そこに行くまでの道も。街中を走行するだけで、いろんなモンが見れたし」
「うん」
「遅刻しそうなボスを小学校まで運んで、皆ブレイブポリスの俺を見て嬉しそうにするから…ちょっと調子に乗っちまった」
校門で騒ぎになり、勇太が担任の先生に注意されていたこと。
帰れと言われたのに職場に戻らず、授業中窓から覗き、茶々を入れて勇太を泣かせてしまったこと。
パワージョーは正直に美空に話した。
「お〜お〜お〜!勇君を泣かせたの!」
「うっ、悪かったよ」
「ちゃんと反省した?」
「…した。」
「なら良し。じゃあ本人に謝りに行こうか」
「え?!」
「一人じゃ行きづらいでしょ?」
「…許してくれっかな」
「ちゃんと謝れば、大丈夫」
「校門で入るなって言われたら?」
話している間に不安になってきてしまったパワージョーは、勇太のいる小学校に行くことに抵抗が生まれてしまっていた。