箱庭にて技師と踊る(2)

連れてこられた整備室はデッカードと勇太と過ごした部屋だった。
そのことに気づいた美空はだんだん笑顔になる。

「油臭い整備室で喜ぶなんて…」
「最近の若い娘は分からなんな」
「あはは!すみません。好きなんです」

※選択科目は体育と技術
(はんだ付けは得意です)

「えっ?家庭科は」
「いやぁ取ってないんですよね」
「へえ〜じゃあ料理はお母さんが作ってくれるのかな?」
「いえ、自分で作ってます…両親いないんで」

これでも食べれる物は作れると続けたが反応が無い。

(あれ?…あ)

みんなの気まずそうな表情に確信。
両親が亡くなっていることを整備士達は知らなくて、気を使ってくれているんだろう。

(は、話を逸らさねば…っ!)

「じょ、嬢ちゃん」
「あ!藤堂さん疑ってますね!」
「え?」
「私が家庭科の授業を取っていないから料理が出来ないって!」

どうか話に乗って下さいと祈る。
ほぼ初対面から印象悪いとか悲しい!

「まぁ、嫁ぐんなら料理くらい出来ないとなぁ…本当に作れんのかぁ?」
「むっ!そこまで言うなら皆さんに差し入れ作って来ますよ!」
「ほぅ〜、怪我すんじゃないぞ?」

乗ってくれた藤堂主任の声色がだんだん悪戯っぽさを含んだことに気づいた美空は、笑いながら決めた。
絶対美味いと言わせてやると。

「おっと、本題本題」
「あ」

忘れてた。

「見せたい物って何でしょうか?」
「おぅ。こっちだ」

そう言い彼は整備室の一角にあるスペースを指差す。
そこには布が掛けられた何かがあった。
結構な大きさだ。