2回目のファーストコンタクト(6)

事が起こったのは、それから数時間後。

高校に美空がいないことにムッシュ・モンドーが気付いたのだろう。
応援を呼ばれたら困るので、先に勇太を始末しようと考えたらしく。
アニメ通りに避難訓練として人払いをし始めた。

「ん?皆出てきたけど、何やってんだ?」
「これは…避難訓練かな?実際に火事や地震とかがあった場合に、素早く安全に動くための練習だよ。怖くて動けなかったら困るからね」
「ふーん…」

片膝を立て、頬杖をついて観察するパワージョー。

「でも、おかしいな」
「何がだよ?」
「さっき先生方とお話した時に、避難訓練やるとは言ってなかったんだよなぁ…」
「抜き打ちってことか?」
「どうなんだろう?ちょっと聞いてくるね」
「分かった」

徐々に校庭に集まりだした生徒と教員の中から勇太のクラスを探し出し、話を聞いてみる。

「いいえ。私は今日避難訓練をすることを聞いていないわ」
「君たちも?」
「おう!」
「わたしも〜!」
「僕もです」
「そう。ありがとう」

パワージョーの元に帰ろうとすると、子供達に呼び止められた。

「お姉さん」
「うん?どうした?」
「あのブレイブポリス、何でまだいるの?」
「さっき私達の授業邪魔したんだよ!」

ブーブー文句を言われた美空は、後方にいるパワージョーをそっと振り返った。

(うっわ、すげえ気まずそうにしてる…)

このままでは体育座りで落ち込み始めそうだと思った彼女は、子供たちを手招きし囁いた。

「彼はね、謝りに来たの。君達に」
「えっ…」
「授業の邪魔しちゃったことをすごく反省してて。今度は先生方にちゃんと許可をもらって、ごめんねって言いに来たんだけど」
「そうだったの?」
「うん。休み時間になったら校庭でごめんなさいしようと計画してたんだけど。これじゃあ仲直りできないよね…」

美空が悲しそうにまた後方を見ると、子供達も彼を見た。
居心地悪そうに身動ぎするパワージョーを見て子供達も思うところがあったのか、文句を言うのをやめた。

「お話ししてくれないかな。本当は皆と仲良くしたいんだよ」
「で、でも」
「さっき最低とか言っちゃったし…」
「じゃあ、お互いにごめんなさいだね」
「彼は、許してくれるでしょうか」
「パワージョーも、今の君達と同じことを思ってるよ」

ちらりと教員達を見ると情報のすり合わせを行っているらしく、こちらに意識は向いていない。

「今なら少しだけお話できるかな」
「行っていいの?」
「うん。一緒に行こうか」

美空と共に、喜多川勝気・愛原絵美里・鷹野菊麿はパワージョーに近づいた。

「…」
「…」
「…」
「じゃ、後はお若い皆さんで」
「「「「えっ!?」」」」
「嘘嘘。じゃあ背高いパワージョーから」
「お、おう…。あ〜、その、授業邪魔してごめんな」
「オレたちも悪かったよ」
「最初に騒いだのは僕たち子供ですし」
「絵美里も最低だなんて言って、ごめんなさい」
「許してくれるか?」
「「「うん!」」」
「じゃあこの話はおしまい!これから仲良くしてください!」

キャッキャウフフと微笑ましく交流する彼等に一安心する美空。区切りのいいところで子供達に戻るように促すと素直に従ってくれる。
教員達も事実確認が終わったようで、話を聞くと、結局誰も避難訓練のことは知らなかったそうだ。

「あれ?勇君がいない」
「!」

一通り確認した後、美空が発した言葉に教員たちが目を見開く。

「まさか…っ!?」
「嫌な可能性ですが、十分にあり得ます。私が此処に来たのも自分の高校で襲撃にあったからですから」
「なんだって!」
「静かに。子供達が不安になります。彼を探しに校舎に入っても?」
「は、はい。大丈夫です」
「今校庭にいる生徒に混乱が広がらないよう、協力をお願いします。私とパワージョーで犯人を捜しますので、誰も校舎の中に入れないでください」
「分かりました」

パワージョーには事情を説明し、美空は走り出したい気持ちを抑えながら校舎へと入っていった。