現状悲惨奮闘中(1)

衝撃的な事実を知ってから数日後。
簡単なリハビリを終えた美空は許可をもらい、友永あずきと共に自身の家に寄り、そして通っていた高校に足を運んだ。

「出席日数が足りないだなんて…」
「美空ちゃん、元気出して?」
「そうだね‥よし!」

受付から職員室に案内される二人。
中に入るとちらほらと居た先生方が声を掛けてくる。


「お〜!友永に白星。元気になったんだな!!」
「どうした?お前ら補習授業無いだろう?」
「先生…実は」
「?」

事情を話すと職員室の外に響くまでの叫び声が上がる。

「き、き、記憶障害!?記憶喪失!?」
「信号無視のトラックから友永さんの弟くんを庇って…!」
「じ、じゃあ白星…俺、担任なんだけど、名前は?」
「…すみません」
「じゃあ、勉…強は?」
「…分かりません」
「「「「「絶望的だ…」」」」」

出席日数が足りてなくても、試験を受けて合格点を取れば三年生のクラスに戻れるのだが。
自宅に帰った時に読んだ教科書はちんぷんかんぷん。
公式の意味も理解できない。

「…これから白星はどうしたい?」
「どう、とは?」
「怪我は治ってるんだろう?」
「はい」
「事故前のお前の夢は、人の役に立つ仕事に就くだった」
「…」
「就くためには健康な身体もそうだが、知識もなければいけない。…分かるな?」
「はい」
「今の白星じゃ、無理だ」
「…はい」

これが現実だ。

「何かやりたいとか、目的はあるのか?」
「…っ!」

あった。
私のやりたいこと。

「あります!」
「じゃあ、どうする?」
「…今から小学生から高校一年の勉強をして、此処の高校の二年生に編入します!」

美空が言い切ると辺りがざわつく。

「そんな、無理じゃ」
「無茶しなくても」
「ふむ…いいじゃないですか」

その声に振り向くと。

「こ…校長!?」
「校長先生?」

(あれ?なんか見覚えが…気のせいか?)

「白星美空さん、だったね?」
「はい」
「想像以上に大変な事だよ?それでもやるのかな?」
「やります遂げます叶えます!」
「ならばよし!許可します!…試験は7日後。いいですね?」
「はいっ!」
「君のような熱心な生徒が、もう一度、我が校に来てくれるのを。楽しみにしてます」
「…ありがとうございます!」

がばりと頭を下げ、美空と友永あずきは学校を後にした。

「いいんですか校長!そんな無理難題を」
「あの子はやるさ…そういう子だ」
「はぁ?」
「さぁ諸君!素晴らしいテスト問題を、作成頼むよ!」

はっはっは!と高笑いしながら、校長はまるで嵐のように去っていった。