「こっちこっち〜」
「あ、綾子さん!せいあさん!こんにちは。お待たせしてすみません」
集合場所にはもう二人が到着しており、美空は駆け寄りながら謝った。
コートを脱ぎ座席につくと、店員が注文を聞きに来た。
「私はホットコーヒーよ」
「私も。美空ちゃん大丈夫よ。焦らなくてもついさっき来たばかりだから」
「あ、ありがとうございます。私はホットの紅茶を」
注文を聞いた店員が下がると綾子さんから口火を切った。
「まず私からね。私は此処最近記事を書くので忙しかったんだ。でもクリスマス前だけどイベント用の記事は出来ているの。あとは出版、印刷を担当者がやるだけ」
「早いですね!」
「…実は」
「?」
「クリスマスを、その…ダンプソンと過ごしたいな〜って思って」
「おおぉ〜!!頑張ったんですか!?羨まっ!ダンプソン羨ましいっ!」
(ほんのり頬を赤らめる綾子さんマジかわいいっス‥あれ?ダンプソン、綾子さん誘ったんだよね?そう言っていたし)
なら何故断ったのか、断られたのか。
美空が疑問に思っていると。
「ダンプソン、私と過ごしたくないみたい」
「…ハァッ!?」
なら彼が落ち込む意味が分からない。
先程話を聞いたときは、突然綾子さんに怒られて断られた。としか聞けなかった。詳しく聞かないと。
「な、なんでそう思うんですか?」
「だってダンプソン…誘った後に何回も何回も、勇太君や他のブレイブポリスとも一緒に過ごすことを強調して」
「…あぁ」
照れたのね。
(甘っ!)
砂を吐きたくなる美空。しかしその前に誤解を解かねば。かわいい部下とお世話になってる綾子さんの為だ。
「ダンプソンは綾子さん誘う時に照れたんです。そりゃあこんな美人とクリスマス一緒に過ごそうなんて言うのは緊張しますし。彼、二人きりだと断られたらどうしようって…不安だったんじゃないかな?」
「…そう?」
「はい。綾子さんは、ダンプソンと…もし二人きりだったら。断ってました?」
「いいえ」
きっぱりと言う綾子さんに、肩の力が抜ける。
「なら、大丈夫です」
「ありがとう…美空ちゃん」
「いえいえ」
「後で、ダンプソンに会えるかしら?」
「必ず向かわせます」
ちょうどそれぞれの飲み物が来たので、ひと息つく。
「なら、次は私…っというかマクレーンのことなんだけど」
「はい」
「私も、彼にクリスマスのことで誘われたのね」
「へぇ…」
「でも私、自衛隊で恒例行事と化してる飲み会に誘われてて」
「あぁそれは断りづらいですね。付き合いもありますし」
「えぇ。でも、飲み会は途中で抜けることも可能で…それなら皆にもマクレーンにも会えるって話したら」
「話したら?」
「無理して来なくてもいいですって…」
「うわぁ」
(マ、マクレーン…ちょっおまっそこは是非!とか、会えるなんて嬉しいとか、なんかあんだろうよ!?)
とんだ鈍ちんである。
「はぁ…」
「せいあさん、すみません」
「いえ…美空ちゃんが謝らなくていいのよ?」
「いや、謝らせてください。なんて鈍感なんだ…落ち込んでたくせに」
「えっ…?」
「本当は皆でクリスマスパーティする以外に予定はないんです。私、ダンプソンとマクレーンが落ち込んでいたので理由が知りたくて…」
ついにネタばらしする。
「そうだったの?」
「まぁ家に帰ればぼっちですけどね」
「美空ちゃん…悲し〜いっ!」
「リア充めっ!お幸せに!という訳で、お願いします」
「え?」
首を傾げるせいあさんに笑いかける。
「女性の夜歩きを心配するならマクレーンが送り迎えすればいい。任務と行き来でせいあさんが疲れる〜って言って気遣いするのに、そういうところも鈍いし自分で断って落ち込むし…誰か、想像の他の男に嫉妬するくらいなら尚更」
「マクレーンが…嫉妬してた?」
「はい。見せてあげたかったですよ!あの顔」
「そう…ふふっ」
(うん、笑顔はいいね。それが知り合いなら尚更!)
「マクレーンは、せいあさんにたくさんお世話になりました。まだまだ異性の感情に疎いですけど、よかったら…せいあさんがまた教えてあげてくれませんか?」
(それが一番、二人のためになると思う)
「…えぇ、こちらこそ」
「よかった……だとよ"お堅い殿方二人"」
おもむろに警察手帳に話しだす美空。向かいに座る二人は驚いた。
「えっ、それって…」
「まさか」
『あ、綾子さん…自分は決して、嫌なわけでは』
「ダンプソン!?」
『せいあさん…』
「マクレーン!?」
「はい。二人は23日非番なので…ご自由に。では、失礼」
ニヤリと笑い、伝票を手に取り座席から立つ。
後には顔の赤い二人が残された。