「じゃあ失礼します」
「本当にありがとうねぇ二人共。今度は遊びにおいで」
「はい!ガンちゃんと来ます…イテッ!」
「フンッ!…じゃあな、婆ちゃん」
「はいよぉ」
笑顔で手を振り見送りしてくれるお婆さんに手を振り返し、美空とガンマックスは白バイで走り去っていった。
「いやぁよかった!事件解決して!」
「…」
「でも疲れた…非番を別の意味でエンジョイしちゃったよ…」
「…」
「…ねぇ」
「…」
「ガンマックス」
「…黙って乗ってろ」
そうしたいのは山々なのだが。
「無理。吐く」
「な……ハァ!?」
急ブレーキを掛けられ止まる白バイ。サイドカーの中でうずくまる彼女を見てガンマックスは慌てた。
「…うっぷ」
「おい大丈夫か顔色が悪いぞ待て吐くな頼むから座席で吐くな!」
「ちょっと…休憩…」
「休憩だな?分かった!」
白バイを手押しし、彼は美空を近くにある空き地に連れて行った。
シートベルトを外しよろよろと土管に座り込む美空を見て、その傍らに座ったガンマックス。
「…」
「…」
「…おい、お前」
「…ぅ」
「……大丈夫かよ」
「う、ん」
美空が何かを探す仕草をしていることに気づいたガンマックスはサイドカーから彼女のリュックを運んできた。
「ありがとう、ガンマックス」
「…」
リュックから水を取り出し嚥下。
「ふぅ…」
「落ち着いたか?」
「うん。ありがとうガンマックス。やっぱり仕事終わりの一杯は格別ですな!」
「っ!?」
おどけて言ったその言葉に、彼はあからさまに動揺した。
「おう、ガンマックス。お疲れさん」
「そんな所から飲んで味気ないだろう!」
「…な?だろう!やっぱ仕事終わりの一杯は格別だ!」
「ガンマックス」
「ガンマックス?」
「ハッ…」
「大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ」
頭を振る彼に声を掛け、傍らにあった大きな手を撫でる。
しかし。
「触るな」
「っ!」
「馴れ馴れしい…俺に関わるな」
手を払われてしまった。
(さっきまで何でもなかったのに…)
「やなことでもあった?」
「お前には関係ない」
「確かに」
でも。
「関係ない人にしか、話せないこともあるよ」
「…」
「やなこと、あった?」
先程まで美空を覗き込むようにしていたガンマックスの顔を見上げる。
彼のアイセンサーはゆらゆら揺れていた。
「……まぁお互い大変だよね…こっちはいつも周りがガキだなんだって役不足扱いするしブレイブポリスを出世目的に利用しようとする奴の相手がクソめんどくさい!」
「…(口調)」
美空が愚痴を言っていると彼が口を開く。
「…お前」
「ん?」
「お前にとって警察って、何だ」
「うーん、難しい質問だ…職種:公務員」
「ハッ、バァカ」
「はぁい」
頭を小突かれたがくすくす笑う。
彼も少し笑った。
「私を満たしてくれる場所…かなぁ?」
「ハァ?」
「いや…」
(それは警察じゃなくて"彼等だ")
何もない空き地の空間を眺めながら彼等を思い浮かべ、美空は笑う。
その横顔を釈然としない気持ちで見つめるガンマックスなのだった。