そして少女は白馬を駆る(2)

「今回の修理・改良では、車体の重量を軽量しつつ、衝撃や防弾装甲を強化。また、いくつかのギミックを追加した」
「あまりに重いと運転に支障が出るから少しだけな」
「自分の力で立て直せないといけませんからね」
「あぁ。でも、今回のメインはこれだ!」
「?」

そう言うと藤堂は、おもむろに取り出した機械を操作し、せっかく改良したオートバイに電流を流した。

「えぇーーー!?ちょっ、藤堂さん何してんですか!?」
「よく見てみな。何ともねぇから」
「え?……本当だ」

ショート一つ、焦げ一つも見つからない。
電子機器に高圧電流なんて流したら壊れるのが当たり前。
美空は首を傾げながら尋ねた。

「どうなってるんですかこれ?」
「さっき流したのはガイゾナイトの怪電波だ」
「うぇええええ!?」
「前回の事件の時点で、もしお嬢ちゃんがバイクに乗っていたら。足首を捻るどころじゃすまなかっただろう」
「そ、そうですね」
(下手したら爆発四散してたかも…)

想像をし生唾を飲みこむ。

「そういった可能性を無くすため、回路に外部から不正アクセスする電波を防ぐ防衛システムとコーティングを全ての機器に施した」
「全部!?」
「おう。ネジ一個から配線一本一本全てだ。転倒したくらいじゃ何も影響は無いから、安心して転んでいいぜ」
「嬢ちゃんのヘルメットと警察手帳・にもやっといたから。手帳は後でデータを入れ替えときな。あ、後コレ」
「え?」
「電波が人体に悪影響を及ぼさないように、専用で作ったレーシング用のスーツと手袋だ。後ろのリアボックスに入れときゃすぐ使えるだろ」
「あ、ありがとうございます!」
(化学の力ってすげー!!)

何事も一所懸命な彼女に何かしてやりたい。
その思いを各々の技術に託してバイクを改良した技術者達は、感心しきりの美空を温かく見守った。

「こ、こんなすごいもの…嬉しい。どうしよう」
「あはははは!!」
「最高の褒め言葉だ!」
「大事に使ってくれりゃありがたいね」
「はい!大事にします!」
「本当かぁ〜?」

警察手帳を投げた前科をからかわれつつ、彼等は美空を練習用の走行コースへと案内する。
外は晴れ。
絶好のツーリング日和だが。

「遠出して、不備があった時に対処が遅くなるのは避けたいんだ」
「スマンな嬢ちゃん」
「いえいえ。了解です」

テスト走行で正確な状態を把握したいため、遠出は無しだ。