バイクを押しながらコースへ向かっていると。
「おや、美空?」
「デッカード!おはよう!」
「おはよう」
「ボクもいるよ!」
「勇君もおはよう」
「おはよう!今日はいつもより早いんだね?」
「今日はバイクのテスト走行なの」
「そうなのか!」
「うん。あ、デッカードも一緒に走る?」
「…せっかく誘ってくれたのにすまないが、これからパトロールが」
「えぇ、ざんね〜ん」
「ごめんね美空お姉ちゃん」
「ううん。大丈夫。かわりにパトロールは任せた!」
「「了解!」」
敬礼しクスクスと笑い合う。
「全ての機能が正常に動作したら、パトロールだって行けるさ」
「藤堂主任」
「本当ですか!?頑張って、美空さん!」
「おうともよ」
公道へ走り去るパトカーを名残惜しげに見つつも、彼女は3人でのパトロールを目標にコースへ足を踏み入れた。
「お邪魔します」
日頃利用している警官達が物珍しそうに彼女を見つめる。
視線が自身に刺さっているのを感じながら藤堂主任らに案内され、性能検査に移る。
警察庁が所有する練習用の走行コースには、単純に走行技術を高めるための道路の他に、犯人逮捕用のギミックを試せる敷地がある。
まずはギミックの確認から。
美空のバイクは、警察手帳と指紋認証による二重ロックの解除を行う必要がある。
「個人認証完了。エンジン起動OK」
「よし、なら追加した機能その一だ。そこの青いボタンを押してくれ」
「何の機能ですか?」
「発信機を発射する。犯罪者と遭遇し、相手が逃亡した際に使え」
「はい。じゃあ…押します」
鋭く空気を切る音とほぼ同時に、100mほど離れた的に発信機が突き刺さる。
「い、勢いありますね」
「そりゃあ鋼鉄のボディに付くようにしないといけないからな。勿論磁石によってくっつくことも可能だが、念には念をだ」
レーザーサイトが照準を示してくれるため、狙いやすい。
「次はこれと、この赤いボタンだ」
「これは?」
「チャフ(電波欺瞞紙)と煙幕だ」
「チャフ?」
「簡単に言えば電波を反射する物体がこんな容器に入ってる」
藤堂主任が代わりにボタンを押すと、バイクの両側面からスペースが現れた。小型の水筒のようなケースがぎっしりと詰められていた。
煙幕はその下段のスペースに収納してあった。
「攻撃を防いだり、撤退途中追いかけられた時に相手を撒くことにも使える」
「へぇ〜…!?」
「あっ、馬鹿!げっほげほげほ!!」
「煙い煙い!」
本来走行中に使う煙幕をその場で使ってしまい、藤堂等整備士と美空は煙で咳き込んだ。
「HAHAHA!真っ白だぞアンタ!」
「ムッ…って」
「よう」
「ガンマックス!?」
「うん?知り合いだったのかお前等」
「「おう/はい」」
背後から聞こえた笑い声の主はパトロール隊に所属のガンマックスだった。
「何だ。サプライズにはならなかったようだな」
「サプライズ?」
「コイツ、ガンマックスはな。第二次ブレイブポリス計画でハイウェイパトロールに配属されたロボットなんだ」
「第二次ブレイブポリス計画?え〜と」
「…簡単に言うと、他の部署にも超AIを搭載したロボットを配置しよう計画だ」
「分かりやすい!」
「前に会ってるからサプライズもクソも無いぜ…ったく」
「いやいや十分サプラーイズ!」
「は?」
「ガンマックスは走るの得意なんでしょ?」
「…それ用に作られたからな」
「じゃあ一緒に走って!」
「why?」
彼は聴覚センサーを疑った。