「なんか呼びやすかったからさ。これからも呼んでいい?」
「うん!やったあ!」
「そうだ。勇君に、頑張ったごほうびをあげなくちゃ」
「え!なになに?」
首を傾げる勇太。
「今日は暑いからアイス買ってくるね。お留守番しててくれるかな?」
「えー!ボクも行くよ!」
「うーん…信頼できる人が家に居てくれると助かるんだけどなぁ…?」
「むぅ…分かった!何かあったら連絡してね!はいお姉ちゃんの携帯電話!」
手渡されたのは白い機体に一本の黒い曲線、シンプルに一粒青いスワロフスキーでデコレーションされたものだった。
「ありがとう、じゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃーい」
そして美空はコンビニへとアイスを買いに出かけた。
Q.最寄りのコンビニに入店すると、そこは強盗事件現場だった時の気持ちを答えよ。
「勘弁してよ…」
「金を出せ!早くしろっ!」
人がせっかくいい気分で買い物に来たっていうのに。
沸々と怒りのボルテージが高まるのが自分で分かる。
(あぁムカつく)
美空はカゴを手に取り、店員を脅すことに夢中になっている犯人の背後から思いっきりそれを被せ、突き飛ばした。
「!?」
「良い年した大人が強盗なんて!楽して稼ごうとするな!!」
「お、お前に関係ないだろう!クソォオオオ!」
逆上した犯人は果物ナイフを持って突っ込んでくる。
それを見た店の隅にいた他の客達が悲鳴を上げたが、美空は落ち着いてそれを見ていた。
そして。
「マトモにぃいっ!…なれえええええええっ!!!」
「…ぐっぎゃ!?」
犯人に向けて投げたガムテープが、最高速に達した瞬間。犯人の顔面にぶち当たった。
果物ナイフは手から離れ、コンビニの客の目の前に滑り止まる。
これで犯人の手に渡らないだろう。
「店員さん手伝って!」
「は、はい!」
投げたガムテープが側に転がってきていたので、犯人をそれで縛り付け動けなくする。
「皆さん怪我は無いですか?」
「はい…!」
「ムーーッ!」
「はい。犯人さんも無事ですね、よかった」
壁に掛けてある時計を見るともう15分も時間が経っている。
(警察来るのいつだろう?あ、ヤバい!勇太君待たせたままだ!)
「すみません、コレとコレ下さい」
「えっ…はい240円になります」
適当に、アイスを2つ掴む。
「1000円で、お釣りは要りません。ガムテープ代込みでよろしくお願いします。じゃあ」
「あぁ!?お客様!」
スタコラサッサと美空は自宅へ帰った。
「美空お姉ちゃん!」
「勇君!」
玄関前で此方を見ていた勇太が駆け足で近づいてくる。
「遅かったから心配したんだよ!」
「ごめんね。行きの道、迷っちゃってさ…」
「よかった〜…家のテレビで、コンビニ強盗事件があったって言ってたから…」
「心配かけてごめんね?この通り無事だよ」
(当事者だけどね)
「よかった!あ、アイスだ!」
「あぁっ溶ける溶ける!」
焦りながら家の中に入る。
アイスを食べ終えたら、午後からまた勉強に取り組む二人。
この二人の勉強会はご近所も巻き込み、6日後の美空の編入試験まで続いたのだった。