「うん、うん…分かった。ありがとう勇君、デッカード」
日は沈み欠け、夕暮れ時に白バイと、その搭乗者たちの影を濃く道に落とした。
美空とガンマックスは今通学路に立ち寄り、そのままゆっくりと歩いている。
「…あのさ」
「どうした?」
「不審者、分かったかも知れない」
「まだ会ってもいないのにか?Why not?」
「犯人と話せば、多分理由が分かると思う」
歩き着いたのは。
「police boxかよ…」
「うん。みんな不審者って言ってたけど、そう言ってたのは大人だけ」
対して子供、小学生達は"お兄さん"と楽しくお喋りしたと、勇太とデッカードの連絡にあった。
交番の警官なら、小学生達に警戒されないよう話しかけることは可能だろう。
「"くーちゃん"は?」
「くーちゃんは目立ったりするの好きだけど、私は違うってこと理解してるし。それに勇君の家族だもん。ベラベラ喋ったりしない」
「信用してんだな」
「"信頼"してるんだよ。ワトソン君」
「…」
信頼。
今の言葉を聞いて黙り込んでしまったガンマックス。
「さぁ問題です!」
「は?」
「不審者が現れるのは午後3〜6時。この交番に勤務している警察官で、時間帯と目撃情報にドンピシャで当てはまる方がいます。はい!ガンマックス!」
「…任意で捜査にご協力頂く」
「正解!…という訳で乗り込みます。頼りにしてるからね、ガンマックス」
「!」
美空はガンマックスの足を拳で叩くと、目の前の交番から出てきた警察官に話し掛けた。
「すみませーん」
「はい…!?」
「縁遠(えんどう)無涯(むがい)巡査さんですか?」
「は、はいっ!白星美空警部補!」
「あの…私を知ってるんですか?」
そう言うと彼は答えた。
「自分っ、友永警部と白星美空警部補のファンであります!!」
「そっ、そうですか…」
「はい!」
(まるでアイドルの追っかけだ)
美空は自分の予想が当たってしまって、こっそり溜め息をついた。
こういうのが一番たちが悪い。
活躍しても失敗しても。対象が何をしても興奮する場合があるからだ。
「ずっとあなた方の活躍ぶりをテレビで見ていて…」
「なら、来た理由も分かってんだろう?」
「え」
「アンタがコイツらについて周囲の学生達に話し掛けまくったせいで、住民から苦情が来ている。不審者が通学路をうろついてるってな」
「えぇ!?」
ガンマックスの言葉に縁遠巡査は驚きの声を上げた。
自分の行動が、周囲の人間に迷惑を掛けていることに全く気づいていなかったようだ。
「今回の巡査の行動は、市の迷惑防止条例違反と…プライバシーの侵害に該当します」
「そんなっ!自分はそんなつもりでは…」
「とにかく、これから上司に連絡して貴方の処分を検討します。そのまま待機していてください」
「……」
沈黙した縁遠巡査から少し離れ、美空は警視庁と連絡を取った。
「…東副総監。白星です。冴島総監に頼まれた不審者の件で報告があります」
「なんだね」
「不審者情報に該当する人物に話を聞いたところ、自分が周辺の学生達に話を聞いて回っていたと認めました」
「そうか!…そいつは今どこに?」
「私達と一緒です。私の他に、ハイウェイパトロール隊のガンマックスが捜査に協力してくれました」
「フン、今回はデッカードと友永警部と行動しなかったんだな」
その言葉に美空は苦笑した。
「あはは、引率の先生じゃないんですから。あ、デッカード達は此方に来ないよう言って下さい。犯人が嬉しくて興奮するので」
「う、嬉しくて?」
「はい。ファンだそうですよ。これから本庁に連行でいいですよね?」
「あ、あぁ…」
「ではデッカード以外のパトカー一台、此方にお願いします」
「分かった」
こうして不審者は本庁に連行されて行き、不審者出没事件は幕を閉じたのだった。