感傷的甘味料(2)
風邪だと言いインフルエンザかもしれないので病院に行くと嘘をついた。上司は私が休みを消費しきれていなかったため喜んだ。
電話を切ると、布団から起きいつも通りに食事や洗濯をする。掃除をした後一応カモフラージュのマスク姿でだが外で買い物もしたしDVDも借りた。家に帰りそれらをだらけながらポップコーンを片手に見る。
久々の自由だった。
好きな時間に好きな物を、事を、好きなだけ出来た。
なのに何でこんな、つまんないんだろう。
「…もう寝よう」
DVDを取り出しケースにしまう。その最中に家の電話が鳴った。
「もしもし」
「あ、なまえちゃん?妙だけど…もしかして寝てた?」
「お妙さん、こんばんは。今から寝るところですけど…どうかしました?」
「それが」
「なまえ〜!」
受話器から酔っぱらいのだみ声が聞こえる。
「何かあったの?銀さんずっとあなたを呼べってうるさいの」
「私は銀さんに昨日仕事終わりの深夜に呼び出されて悪口ボロクソ言われたくらいしか思いつきません。…どうやら言い足りなかったみたいですね」
思い出したらムカついてきた。
「私今仮病でインフルエンザなんで無理です。迎え行けません。つーか昨日の今日で会いたくないです。パシりじゃないんですから」
「…わかったわ」
「迷惑かけてすみません。失礼します」
受話器を置く。
「風呂入って寝よ…」
あぁ頭いたい。
「ですってよ銀さん」
「……」
店の中にため息が落ちる。
「恋人に呼び出されて悪口ボロクソ言われて…誰だって怒りますよ」
「…」
「このまま別れるんですか?バレンタイン前に。なまえちゃん人気だから引く手数多で、すぐ取られちゃいますよ」
「…」
「そういえば!バレンタインに手作り渡すって言ってたわ……さっき、電話口で」
「!」
ガタンと反応する銀時。勿論先程の会話に、そんな内容はない。
「別の人かも…」
「うっ」
「悪口言われて、弱ってるところに優しくされて…」
「うぐっ」
「このまま自然消滅…」
「……」
グサリグサリと刺さる言葉の矢。
「とにかく、後悔してるならまた会話すればいいじゃないですか…会ってくれるかは別として」
「…っお前は応援してんのか貶してんのかどっちだよ!」
「応援してますよ?競馬場にいる馬に声援送る親父共のように」
「あ…そ、そう」
「その前に銀さん。なぜわざわざ呼び出して悪口なんて言ったんですか」
「いや…本当は」
お妙の耳元にこそこそと話すと。
「何でそれを早く言わないんじゃボケェェエ!」
「おごっ!」
目の前のテーブルに頭を叩きつけられる銀時。
「それ最初から言ってたら今回のようにならなかったんだろがぁー!明日ちゃんと言え!そして謝れ!」
「ふぁい…」
テーブルの残骸に沈んだ銀時はなんとか返事すると、気を失った。