劇的に彩って(5)

14日。
テキパキと作業をこなしているまつさんをぼーっと見る。
この前のことを報告すると、まつさんは「一大事でござりまする!」と叫んで何故だかすごい気合いが入ってしまい、化粧の前に項を剃り、顔の産毛剃りとリフトアップのトリプルコンボをお見舞いされた。

化粧は従業員がやってくれた。最初化粧をしたことがないと言った私の為にナチュラルメイクをしてもらっていたが、側を通った前田くんに見事に綺麗な別人にしてもらった。そしてそのままヘアメイクへ。

「誰だこれ」
「いやぁ別嬪さんになったね!」
「ありがとう前田くん」
「いい人と行くんだろう?あっと驚かせてやんな!」
「いい人?」
「おっと!野暮だったかい?恋はいいねぇ〜」
「こここ恋ぃ?!」

店内に大声が響く。

「みょうじちゃん声がでかいって!」
「す、すいません…」
「まぁ…みょうじちゃんが恋かぁ〜」
「いや、そんなんじゃ」
「みょうじちゃん」
「…」

どこか真剣な声に口を閉じる。

「恋は誰にでも訪れる。…みょうじちゃんが前嫌なことあったのは知ってるよ、でももう終わったんだ。もう、笑顔になっていいんだよ」
「もう、終わった…?」
「あぁ」

なまえは俯いて何か考えると、顔をあげて鏡越しに慶次に話しかけた。

「前…慶次くんは、好きな女の子にどんな事してほしい?」
「うーん…色々あるけど。やっぱ好きな女の子には側で笑っていて欲しいね!」
「そっか……」
「頑張ってきなよ!」
「うん‥!」

成人式。
待ち合わせ時間より早く店に来た元親とタクシーに乗り、会場に着く。

「名無し…着物、似合ってるぜ」
「元親くんも、かっこいいね。なんか成人って感じしてきた」
「おいおい!まだ式始まってすらいないぜ?」
「あははっごめんごめん」
「じゃあ…行くか」
「…うん」

足元滑るからと手を引かれて会場に入り、知り合いを探す。

「なんだか全っ然会わないね?」
「あぁ、(お)っかしいな」

結局式が終わってもクラスメートに会わず、仕方がないので会場の人に元親と並んだ写真を撮ってもらい店へと戻った。

「ただいま戻りました」
「お疲れ様ですなまえさん」
「人がうっじゃうじゃいたぜ…」
「それはそれは…。実は皆さんこのあとの同窓会、各自現地集合になってるようで」
「マジかよ!」
「これが地図です。政宗さんが渡すようにと」
「ああ?政宗が?」

元親は首を傾げながら地図を受け取った後、いきなり叫んだ。

「あの野郎がぁ…!」

余計なことしやがってと言う元親はどこか迷惑そうだ。

「あの、元親くん?」

もしかしてからかわれて嫌な思いをしているんじゃないだろうか。

「私のことは気にしないで。何か予定あるならそっち優先すれば」
「無い無い無い!全く無いぜ!ぉ、俺は今日の為に休みをだな…」
「元親くん?」
「…とにかく!このあとのなまえの時間をくれねぇか?!」
「は、はい!喜んで!」

手まで握るほどのことでもないけど…、でも嬉しいな。

「ゴホン!…お二方。とりあえず着物をお脱ぎください。名無しさんはこっちに」
「「あ、はい」」

すっかり忘れてた。

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