劇的に彩って(7)
「…じゃあ、赤にしようかな」
「赤でございますね!なまえさんは肌が白いゆえきっと映えまする」
「そうね…」
「好きなんだ、赤」
彼も来るんだろうか。いつも、赤を纏っていた彼は。
「なまえ、…会いたいのね?」
「え?」
「まぁ!なまえさんは好いている方がいるのですね!」
「…はい。成人式と同窓会に来るか分からないんですけど」
「もしお会いしたとき恥ずかしくないよう、まつめがしっかり、抜け目無く手をかけさせていただきますれば!」
気合い入ったまつさんは赤い着物選びに夢中になってしまった。
「市、長政様に電話してくるわ」
「え?あ、いってらっしゃい」
自分の中でもう全て決まっているようで、市はまつさんに一言声をかけると下に階段を下りていった。
「なまえさん?」
「…はい!?」
「なまえさん、ぼーっとしておりましたね」
「すみません!…せっかく選んでもらっているのに」
いかんいかん。
「いえいえ…柄は如何します?何かご希望がありましたら遠慮せずおっしゃってくださいまし」
「…桜がいいな」
「桜?」
「はい」
「…何か思い入れがおありのようですね」
「向こうはきっと覚えてないと思うんですけど、初めて会話したのが立派に桜が咲いてる時で」
「彼が桜を見て笑っていたのに見惚れた?」
私の代わりにまつさんが答える。
「……もしかしてまつさん、どっかで見てました?」
「いいえ、その情景を想像しておりましたらつい口が」
「はははっ…すみません。ありきたりですよね」
昔もそんな軽い気持ちだったからだろうか、話す機会があっても会話出来ず。嫌がらせを受けていたら、ほとんど誰とも会話しなくなったんだよな…。今かすがや市と話できるのは二人が私を見捨てなかっただけ。
「なまえさんは未だに、そのお方が好きですか?」
「…分かりません」
諦めがつかないだけかもしれない。
それに私には、愛してもらえる要素はないんじゃないか?
「なまえさんは、いつもどこか遠慮がちです」
「そうですか?」
「はい」
だ、断言された…だと!?
「慶次に少し分けたらいいくらいです!」
「あ、はは…」
何か思い出したのかプンスカ怒り出したまつさん。
「恋は戦です!遠慮せずにお相手に好きと言えば良いのです!告白なさい!攻めずして城は落ちませぬ!」
「えぇ!?」
「真田くんのように猪突猛進あるのみ!」
「え?」
「私も犬千代様にアタックしたものです」
「へぇえ〜」
結局夕方までまつさんと利家さんの馴れ初めを聞いたなまえは、着物選びを終えて砂吐きながら帰路についた。