劇的に彩って(13)

玄関の扉を開けて中に入る。

「なまえ、遅い…ぞ…」
「…本物?」
「え…みょうじさん?」
「誰?」
かすがと市が固まり、ザワザワと周りがざわつく。

「みょうじなまえです。みんな、久しぶりだね?」
「名無し…見違えたな…」
「市も、びっくり…」
「親友よ、驚きすぎだ!」

笑いながら三人で会話してると、周りに話しかけられる。

「なまえちゃんすげぇ美人!」
「あ、ホ…佐助くん」
「思いとどまってくれてありがとう…」
「なまえに寄るな佐助!」
「みょうじさん、綺麗だね」
「ありがとうございます」

誰だか覚えていない奴も話しかけてきて、びっくり。

「キリがないな…」
「確かに…ご飯食べたい」

あぁ、政宗くんと話したいのに。
キョロキョロと政宗を探すと、少し離れたところで片倉先生と話しているのが見え、私は群集から抜け出した。

「…まさ」
「みょうじさん」
「!」

この声は。
振り向くと、女子。

「久しぶりね?元気?」
「…」
「あらだんまり?」
「…」
「つーか何でここにいるの、アンタ」

最悪だ。

「前みたく隅に引っ込んでなさいよ」

誰だっけ?

「化粧濃い、香水臭い、口汚い…こんなやつ同じクラスにいたっけ?」
「な…っ!」
「アンタ誰?つーかなんでいるの?あ、男漁りにか、だよね〜!」

私に言い返されると思っていなかったのだろう。返事がない。

「あれ?どうしたの?」
「アンタねぇーっ!」

ああ、五月蝿い。

「用が無いなら、失礼?」

耳が腐る。

「…」
「政宗くん、本日はお招きいただきありがとうございます」
「なまえ…」
「?」
「so beautiful...」
「あっ、ありがとう。…協力してもらった甲斐があった!(小声)」
「どうした?」
「な、なんでもないよ!頑張った甲斐があるって思って」
「…そうか」

微笑んだ政宗。
そんな顔されると。

「な、なんか照れる」
「!!」
「ご、ご飯食べてくる!」

照れて恥ずかしくなったなまえは、誤魔化すように食事しにいった。

「…どうした政宗、顔真っ赤だぜ?」
「Shut up!!元親!!」


その頃

「美味しかった…」
立食パーティーなのであまり多く持ち歩くことは出来ないが、壁際に椅子があるためそこで軽く食事をとり座る。
何していても感じる視線はあまり好ましくない。

「ふぅ…」
「隣、いいかな?」

まただ。

「どうぞ。私はこれで」
「ぁ…」

何回目だよ。
うんざりしていると。

「みょうじさん!」
「またかよ」

さっきの女子だ。
「何か?」
「何かじゃないわよ!ちょっと綺麗になったからって調子乗ってんじゃないの!?政宗くんに色目使って!」
「…」

うぜー。
周りも騒ぎに気づいてまたざわつきだした。

「色目とは何か分かりませんが、私は高校で貴女達に嫌がらせされる前から政宗くんが好きです」
「私の方が政宗くんが好きよ!」
「それはよかったですね」

「…はぁ!?」
「選ぶのは彼です。私ではないですから、よかったですねと言ったんです」
「ば、馬鹿にして…!勝負よ!!」
「…」

めんどくさい。

「じゃあ、勝った方が独眼竜に告白出来る権利が与えられるってのは?」
「前田くん!?」
「いいわよ」
「風来坊のやつ、余計なことして…」

恋バナに反応した前田慶次が、大きなみんなに聞こえる声で言ったため野次馬が増えだした。

「…」
「なによ、怖じ気づいたの?」

呆れて物も言えない。政宗くんが迷惑だろう。
そう思い彼を見ると、彼も私を見ていた。

「…」

勝たなきゃ。

「…受けて立つ!」

なまえがそう言うと、周りが盛り上がる。

「じゃあ、勝負は…」
「酒だ」
「政宗様!」
「いいだろ小十郎、飲み比べ対決だ」

吐くか、倒れるか、Give upするまでだ。そう言うと大量の酒が運ばれてくる。

「じゃあ、数数えなきゃな!」
「アタシは彼に頼むわ」

私の知らない人に頼んだ女子。

「じゃあ私は、石田くん。お願い」
「…何故私だ」
「だって、嘘つかないでしょ?」
「あぁ」
「よろしくお願いします」
「任せろ」
「じゃあ、用意…スタート!」

お互い勢いよく一杯目を飲み干した。








結果は…




「うぅ…」
「みょうじさんの勝ちだー!」

水を飲み、政宗くんに叫ぶ。

「政宗くんが好きです!付き合ってください!」
「Of course!」

走ってきた彼に抱き締められる。
そのまま床に倒れ込んだ二人に、ずっと歓声は鳴り響く。
憧れを今、掴んだ。

伊達政宗編 Fin

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