劇的に彩って(14)

→黄色い色合いの着物

「黄色、がいいです」
「黄色ですね?少々お待ちください」
早速探し始めてくれるまつさん。
華やかな、彼を彷彿とさせる色。

「他に何かご要望はおありですか?」
「いや、特に」
「綺麗にしてあげて…?なまえは好きな人がいるの…」
「市っ!?」
「まぁそれは!」

ぐわっと振り向いたまつさんは、目を爛々と輝かせて自分のことのように浮き足立っている。

「いつ好きに?どのようなお方で?告白はなさるのですか?」
「す、すごい食いつきますね…」

風来坊…前田くんといい、まつさんといい…前田家は恋バナが好きなんだな。

「女子はそういう生き物でございます」
「ふふふ…」
「さいですか」

あまりそういう話をしたことがない私には少し居心地が悪い。
そんな雰囲気を感じたのか、まつさんはお茶を淹れてくると言い、下に下りていき、代わりにかすがが入ってきた。

「かすが!」
「忍さんはいいの?」
「あぁ、それよりなまえ」
「…はい?」

嫌な予感。

「今の話、聞かせてもらおうじゃないか」
「親友だもの…相談に乗りたいわ」

予感的中。

「いやいやいやいや…というか!何で市知ってるの?!」
「…女の勘?」
「えー…」
「さぁ、吐け」

なにこの取り調べ。

「…こっちが勝手に好きなだけ。彼は、きっと私を覚えていないよ」
「お前は、そいつのどこに惚れたんだ」
「…」
「なまえ…?」
「ただ、優しくされただけだよ」

彼は、みんなに優しい。

「辛かった時に、優しくされて…何度か会話してると、ね」
「そいつの、特別になりたいと思わないのか?」

思ったさ、でも。

「…そんな自惚れられるほど自信、ない」

嫌がらせされる毎日。いつも相手が、自分が消えてしまえばいいって考えてた。

「かすがと市がいてくれて、彼も話しかけてくれて。でも、なんでみんな自分なんかに構ってくれたのか…今でも分からないよ」

申し訳なくて顔が見れない。

「なまえ」
「…」

ゴンッ

「いっ…!?」
「アホだな、なまえは」
「そうね…」

突如殴られアホ呼ばわりになまえは顔を上げる。

「お前が同じことをしたからだ」
「なまえが同じことしたからよ…?」
「え?え?」
「忘れたのか?…まぁ、だから親友なんだ」
「だから市、二人が好きなの」

ぼけっとなまえが笑う二人を見つめていると。

「こんな美人な親友に囲まれて自信がないだと?」
「謙虚なところも市、好きよ?…でももっと胸を張って?」

いまだに婆裟羅高校、大学美人ランキングトップ10を争う親友達に慰められても、あまり自信は持てないが。

「ありがとう、二人共…私」

親友に、そして彼に。

「隣に立てるように、相応しくなりたい」
「「なまえ…」」
「よくぞおっしゃいました!!」

決意を込め親友に言うと、いきなり後ろの扉が開いてまつさんが入ってきた。

「なまえさんの決意!感動しました!まつめも協力させていただきます!」
「…はい!よろしくお願いします!」



その日、閉店時間ギリギリまで四人で着物などを選び帰宅した。

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