劇的に彩って(15)

式当日。

「…決戦ね」
「何故私達が緊張しているんだ」
「なまえよりは大丈夫よ、見て」

かすがと市が隣をちらりと見る。

「……」
「へへっ!我ながらいい仕事したねぇ!」
「化粧が映えております!慶次、腕を上げましたね!」
「…誰だ」

鏡を見て呟いたなまえ。

「自分を見失っているわ」
「あれだけ変わればな。だからいつも化粧をしろと言っていたのに…」

そんなことを言いつつ全員の用意が整い、会場に向かった。

「はぐれちゃった…」

会場に着き、会場案内のパンフレットを見た少しの間に二人を見失ってしまった名無し。
辺りを見回すが人、人、人。

「「困ったなぁ」」

…ん?
誰かと声が被り、気になって振り返ると。

「三成とはぐれてしまった…」
「!」

あれ、おかしいな。幻覚が見える。

「…うん?どうかしたのか?」

あ、本人だ。
緊張のし過ぎで変に冷静になる。

「み、三成って…石田くんのこと?」
「知ってるのか?もしかして」
「高校、同じクラスだったの」

ちなみに大学、就職先も一緒だ。

「そうか!ワシは徳川家康だ!…覚えているか?」

もちろん。

「覚えてるよ。私は……いや、分かんないか。地味だったし」

笑いながら言う。
期待は、なかった。

「みょうじさん」
「…え?」

今、なんて…。

「みょうじなまえさん。同じクラスで、読書と唐揚げが好き。仲のよい…絆に結ばれた友は、かすが殿とお市殿」
だろう?と少し頭を傾けながら笑う彼。

「な、なんで…」

一瞬うろたえたが、気づく。

「あ、そうか」
「?」
「幹事だもんね。二人から聞いたんでしょ?」
「え、」
「幹事って大変だね」
「いや…」

あー焦った。

「みょうじさん、あの…ワシは」
「あ!石田くん探してるんだよね?邪魔してごめん」
「いや!大丈夫だ!」
「そう?私も二人を探さないと…じゃあ」

そう言って離れようとすると。

「待ってくれ!」
「!」

手首を掴まれる。

「あ……い、一緒に探そう!」
「え、いいの?」
「あぁ!よろしく頼む!」
「じゃあ、よろしく。徳川くん」

徳川くんはこくこくと頷くと、私の手首を掴んだまま歩き出した。

「…」
「…」

手首が、熱いな。


「どこかのさんは、同窓会に出るのか?」
「…うん。だって強制参加なんでしょ?」
「え?」
「え?」

あれ?

「幹事がそう決めて企画したんじゃないの?」
「いや、ワシは予定のある者は断っていいと…」

ならなんでだろう?

「みょうじさんは、予定があったのか?友人と会うとか…彼氏と過ごすとか。ならすまないことを」
「ないよ、何も。会社の上司が正月に私が休みも取らずにいるから、無理やり休みにされたくらい。だから、彼氏もいない」

最後は少しぶっきらぼうな言い方になってしまった。

「そうか…」
「うん。あ…徳川くん」
「な、なんだ?」
「その……手首を」
「え?…ぁあ!?すまない!」

自分から言っといて、離れた熱が惜しい。
それから気まずいまま、お互いの友人を探したが見つからない。

「みょうじさん」
「っはい…」

声が詰まる。

「もう式が始まる時間だ」
「あ…」

時計を見ると開始10分前。会場には余裕を持って来たはずなのに。

「一緒に行こう」
「……いや、いいよ」
「え?」

なまえが指差す先には。

「石田くん、約束通り徳川くんを待っててくれたみたい」
「…三成!探したぞ!」

探していた人に向かう徳川家康。

「…」

会話してる二人に気づかれる前に、人混みに紛れて中に入る。
かすがと市はかなり離れたところにいた。
なまえは一つ空いていた席に座り、成人式に参加した。

式が終わり、かすがと市にやっと合流。

「お前は…いや、先に行って悪かった」
「市も…ごめんなさい」
「いやいや気にしてないし!」

でも疲れたから早く振袖返しにいこう。写真を撮ってもらった後にそう言うと二人も同意し、タクシーに乗り店に向かった。

「何かあったな」
「…よく分かるね」
「どうしたの?」
「会ったよ、好きな人に」
「光色さん?」
「途中闇色さんもとい石田くんとセット」
「…」
「気を使って一人で式に参加したんだろう」
「ご名答」

三人分のため息が車内に充満した。

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