劇的に彩って(16)

タクシーは呉服屋梅花に着く。

「お疲れ様でございまする!」
「お疲れ様です…」

三人して暗い顔をしていたらしい。出迎えてくれたまつさんが固まった。前田くんが慌ててこっちに来る。

「ちょっと、三人ともどうしたの?」

小声で話しかけてくる彼にあったことを話す。

「あちゃ〜」
「ね〜」
「うん…」
「じゃない!」

かすがが怒鳴る。

「何故交流のある石田に気を使う!?」
「いや、人探すの約束しただけだし…」
「それにかこつけて一緒に式に参加するとかあるだろう!」
「友達をダシに使うとか無理。…それにあの仲良さげな雰囲気に割り込んだら斬滅する…私の精神が」
「そっちが本音だよねみょうじちゃん」
「うん」
「そこで胸を張るな!」

そこまで話して、復活したまつさんに振袖を返すため二階に行く。

「すみません…せっかく協力してくださったのに」
「いえ‥」
「私の努力不足の結果です。まつさんが気に病む必要はないですし、私、こんなに綺麗にしてもらったことないから…それだけで嬉しかった。感謝してます。ありがとうございました」
「こちらこそ、喜んでいただけて…」

なんて話している間に着替えは終わる。
少し名残惜しく思いながら、仕舞われる振袖を見つめた。

「…さて、と。同窓会行くまで時間あるけど、どうしようか?」
「何か食べに行くか?」
「それ…いいわね」
「そうしようか!」

時間の潰し方を決めて、もう一度まつさんと前田くんにお礼を言う。
そして振り向いて。

「あっ」
「わぷっ…」

誰かにぶつかった。

「す、すみません」
「こちらこそすまない。…あ。だ、大丈夫か?」
「はい、だいじょ…!?」

顔をあげると、先程別れた徳川くんが。

「イエヤスゥゥウ!貴様またなまえに迷惑をかけたなぁ…!斬滅してやる!!」
「あ、石田くん久しぶり」
「いつも会っているだろう!いい加減名前で呼べ!」
「確かに。でも半兵衛さんと呼び方被る」
「構わない」
「分かったよ、三成くん」

と、会話してると周りが静かなのに気づく。

「どうしたの?」

一斉に質問攻めされる。
うざい。

「おいおい、どこかのさんが困っているだろう」
「ごめんね三成くん、徳川くん…行こう、二人共」
「あぁ」
「うん」
「え、あ…!」

急いで玄関から外に出た。

「…」
「…大丈夫か?」
「……ごめん、二人を振り回して」
「市、気にしてないわ」
「ありがとう…でも、少し一人きりになりたい」

このままじゃ二人に八つ当たりしそうだ。

「…分かった」
「あとでメールするわ…」
「うん、ありがとう」

二人が去っていくのを確認して歩き出した。行く宛は無い。なまえの上から雪が静かに降る。

「すぐこれだ」

人の心を荒らすだけ荒らして貶す。アイツ等は。

「私を話のネタにしようとして、つかれた」
「なまえ!」
「待ってくれ!」
「…何ですか」

三成くんと徳川くん。

「みょうじさんに不快な思いをさせて悪かった」
「私が」
「二人のせいじゃない」

振り向いて言う。

「…」
「…」
「…そうだな。家康のせいだ」

…え?

「ちょ」
「先程なまえが私を探すのを手伝ったというのに、家康!お前はこいつに礼の一つも言わず!いなくなったのにも気づかず!」

なんて奴だ!と頭を抱えキレだした三成くん。
いや、気づかれたくなかったからいいけどさ。

「懺悔しろ!許しを望んで乞い願え!!」
「いやいやいらな」
「みょうじさん!お詫びにするのにこれからと同窓会、じ、時間をくれ!」
「え、はあ!?」

がばり、と頭を下げる徳川くん。

「いや…」
「なまえ、いいか?」

道の真ん中でこれ以上頭を下げられて、また噂とかなったら嫌だしな…。

「分かりました」
「じゃあ行こう!」
「え」
「飯を食いに行く。イエヤスゥゥウ奢れェエ!」
「えっ」
「あぁ!いいぞ!」
「ぇええっ!」

結局割り勘に頼み込んでしてもらいました。

「次は服だ!」
「え?なんで?」
「別荘の主は…誰だ」
「独眼竜だ。どこかのさん、伊達政宗覚えているか?彼が貸してくれるんだが…」
「ドレスコードだ」
「あぁ…半兵衛さんによく連れていかれた。スーツがいい…」
「ドレス、持っているのか?」
「貸衣装だから無い」
「じゃあ行こう!」

グレイ状態で強制連行。

「黄色!」
「紫だ!」
「白のAライン。ショールと靴はこれで」
「はい。かしこまりました」
「「え」」
「?」

どうしたんだろう?はて、と思いつつとにかく会計を済ませる。
そして騒がしくも楽しい時間は過ぎ、とうとう同窓会の時間になり、三成くんの運転する車で伊達くんの別荘に向かった。

prev Shortへ next topへ