流るるままに(5)
やあ皆さん。これから【第一回伊達家中親善試合】始まるよ!

「自分でハードル上げといてなんだけど、だるい」

里美の着けている腕時計で午後二時頃。
準備が出来たと家臣が部屋にいた全員を呼びに来た。

「梵天丸君も?……大丈夫?」
「さとみは自分の心配しろよなっ!」
「ごもっともだな」
「はあ゛〜い…」
「延ばさない!」
「はい!」
「…」

モブ家臣に睨まれつつ移動。
外の広々とした空間の真ん中で。
1対10…、13。

「なるほどフルボッコですね」

まぁ案外少なかったな…。他は様子見ムードみたい。
一対一かと思ったけど、忍びだとしたらそうもいってられないか。
辺りを見渡すと、周りを囲む家臣団の中に守られる輝宗様とその奥さん義姫様。そして梵天丸君と弟の竺丸君が椅子に座り、その側に小十郎さんが控えている。

「…」
(なんか梵天丸君居心地悪そう…下向いてるし)

大勢の人の目に触れることにストレスを感じているようで、小十郎さんに話しかけられてぼそぼそと返事している。
早めに終わらせよう。
怖じ気づいたか小娘、と私の心の中だけのあだ名ヒゲだるまが話しかけてきたが爪の甘皮を探す振りしてシカトする。ヒゲだるま達と向かい合うと輝宗様からのお言葉があるらしいので黙って聞く。

「これより!伊達家中親善試合を始める。決まりは三つ。相手が参ったと言ったら攻撃を止めること、血を流したらその時点で戦闘不能とみなす。気絶したら試合は終わりだ。お互い悔いのない試合をするように。伊達家に恥じぬ戦いを見せてくれ。では……始め!」

それを合図に怒号が飛び交う。

「ひえー、ヤンキーの集会みたい」
(…ん!?)

何かに気づいた里美。
皆様方、持ってるの…真剣ホンモノノカタナじゃね?

「…」

(あ、そうだ真剣だ。これ試合だよね?親善試合だよね!?仲良くする気0だよ!)

とりあえず飛び出してきた一人の刃の切っ先をかわしそのまま頭を掴む。
風を纏った手で窒息させて一人目終了。
指先をクイ、と動かし観客席にゆっくりと運んだ。
その間にも攻撃は止まない。婆裟羅の説明はあったようだ。

(壁が欲しいな…)

流石戦い慣れている方々。忍も混ざっているようで武士たちが引くと間を置かず入れ代わり攻撃してくる。
顔を目掛けて飛んできた苦無を婆裟羅で風の抵抗を強め、スピードが落ちたのを掴んで思う里美。
持った苦無の持ち手の先端でこめかみを思いきり殴りつけて二人目を倒す。
力加減が分からず殴ったため彼が心配だ。苦無で殴るのは止めよう…。
そして躱し続けることも。
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