いものうすぎりとあめじけん(1)
伊達家にお世話になって四日目。
朝方見た地面には霜が降りており、後何日か経てば冬が来るなと感じながら、私は今。
「待てやぁあああ!!」
「待てーしえみぃぃいい!」
「のおああああ!」
走ってます。
平穏に日々が過ぎていくことにありがたみを感じながら、朝食後読書の秋だと里美はひっそりと教科書を読んでいた。
すると自分の居る部屋に近づいてくる足音が聞こえる。
静かに教科書をしまっていると向こうの世界で購入していた菓子類が目に入った。
やけ食いでもしようとしていたらしく、少し量が多い。どうしようかと考えていると外から声を掛けられる。
「史絵美様、梵天丸様がお見えです」
「(声からして確か…喜多さんだな)あ、はいどうぞ!」
障子が開かれ入ってくる梵天丸君。
「さっきぶり、梵天丸君」
「おうさっきの朝食ぶりだなっ!…今日は遊べるか?」
「うん」
「やった!」
喜んでいる梵天丸君を喜多さんと二人微笑ましく見ていると。
「さとみ?それなんだ?」
「それ?…あ」
開けたままの学生鞄から覗く菓子類の入ったビニール袋。
(どうしよう)
答えを待っている梵天丸君と喜多さん。
「えっと……中に、お菓子が入ってるの」
「えっ!これが菓子なのか!?」
「うん。袋の中に、湿気ったら美味しくないからまた袋でお菓子を包装してあるの」
嫌な予感しかしない。
「さとみ!」
「駄目」
「……まだ何も言ってない……食べたい!」
「怪しいから、得体が知れないから駄目」
「「!」」
私はそう言って立ち上がり、荷物を全て掴んで出て行こうとする。
「さとみ!」
「なに?」
「本当に、それは菓子なんだよな?」
「うん」
「そっか…」
そう言うと梵天丸君は叫んだ。
「こじゅうろぉおおおおおおお!さとみがぁぁあああっ!!」
「え!?ぼ、梵天丸く…」
(何か、地鳴りが…)
その音は此方に向かっている。
凄まじいその音にビビった私は、思わず掴んだ荷物を抱え部屋から飛び出したのだった。
そして冒頭へ。
「待てやぁあああ!!」
「待てーしえみぃぃいい!」
「のおああああ!」
叫び声を上げながら磨き上げられた長い廊下を走り抜ける三人。
正確には里美と梵天丸を背負って走る小十郎の二人だが。
「荷物重っ…」
「さとみっ!」
里美はちらりと後ろを振り向くと、すぐ前を向き、先程よりも速度を上げた。
「やべえ」
(天使と般若が同居してる!?)
廊下を走り、部屋に飛び込み、庭を回り。
野次馬が知らせたのだろう。騒ぎを聞きつけた輝宗様に、部屋に来るように言われてしまった。
(ああ、気分と比例するかのように鞄とリュックが重い…)
むっつりと黙り込んで部屋に向かい歩くさとみを、梵天丸と小十郎が挟んで歩くのだった。
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