いものうすぎりとあめじけん(7)
見守っていた人が自分の仕事に戻り、庭園に残ったのは4人だけになった。
「梵天丸様」
「小十郎…ごめん」
「ハァ……ふん!!」
「「い゛ってえええっ!」」
(うっわあ痛そう)
ため息の後、小十郎の拳骨がちびっ子二人の頭に突き刺さった。
自分が叱られているわけではないのに肩が跳ねる里美。
「部屋で待つよう言いましたのに、心配しました」
「ぅ…」
「ごめん…」
「私が寝てて、部屋から出るの遅くなっちゃったから、暇だったんだね。ごめんね」
「う、ううん…いいよ。里美」
「ん?なに?」
「ごめん」
「え」
「コイツにお菓子の話、しちゃった」
固まる里美。
「梵が美味いって言ってた!」
「そしたらそんな菓子あるなら食いたいって」
「……梵天丸様」
「え、なんか俺マズイこと言ったか?もしかしてもう無い?食っちまった?」
事情を知らないその少年は困った顔をして三人の顔を見ている。
ちなみに菓子はまだたくさんある。が、しかし。
「あるけど…問題児に渡す菓子は無ぇっ!」
「「えぇーーーっ!」」
「仕方ないなぁ、鬼ごっこで勝って見せろ!二人が鬼ね!はい始め!」
「ずりぃ!!」
「待てぇええさとみ!!」
「やだねーって足早っ!?」
ギャーギャー叫ぶ三人を眺める小十郎。
「嘘をついて誤魔化せばいいものを、貴女は…」
見守る最中の、着物の袖をきつく握り締めた彼女を思い出し、彼は独りごちた。
なんというか。
「不器用な人だ」
「小十郎さん助けてーー!」
「「待てぇ〜っ!」」
「頑張ってください」
バテてきた里美を追う梵天丸と成実を応援しながら、小十郎は未来の菓子に思いを馳せた。
きっと皆で食すことになるだろうと。
(お子ちゃまには勝てなかったよ…)
(お疲れ様です)
(うめーっ!)
(うめぇな〜!)
(そりゃよかった…はぁ)
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