種よ、人の望みよ喜びよ(3)
「くらえー!」
「うわっ危な!」
「すごい!本当に飛んだぞ!」
「そうだね。でも顔は危ないから…距離を競おう」
「ごめんね里美。…どこから飛ばす?」
「ちょっと待ってね」
小枝で地面に線を引く。
「よし!いいよ梵天丸君」
「おう!」
「せーの!」
「「飛んでけー!!」」
二つの紙飛行機が勢い良く飛ぶ。
春一番が吹いたせいか、予想以上に風に乗ってどんどん飛んでいく。
「梵天丸様、里美殿。此方にいらしたのですか……?」
「「あぁー!!」」
「!?」
農村部から戻ってきた小十郎が此方を来る。
すると彼目掛けて飛んでいた紙飛行機を掴んで止めてしまったため、里美と梵天丸は叫んだ。
「小十郎!動くな!」
「は、はい」
「小十郎さん!どっちが飛びましたか!?」
「…左手の方です」
彼の示す紙飛行機は。
「「どっちだっけ?」」
「おい」
「名前書いておけばよかったね」
「ねー。あ、小十郎!お帰り!」
「ただいま戻りました」
「小十郎さんお花見に間に合ってよかったね、梵天丸君」
「おう!」
「花見、ですか」
「父上が今日は"ぶれーこー"だって言ってた。里美も呼んでいいって!」
「そうでしたか。では準備が整ったか確認を」
「俺も行く!」
「行ってらっしゃーい」
「里美も!」
「え?作業の邪魔になるじゃん」
「えーっ!」
「…里美、いいから来い」
「へっ!?」
驚いている間にスタスタ梵天丸と先へ行ってしまう小十郎の後を追う。
「いつになったら馴染むんだ…」
「こじゅうろ?」
「何でもありません、梵天丸様」
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