地面が揺れている。ドカドカと音をたてながら震えている。 「あーもうっ! どれだけしつこいのあなたたち!」 カオリは群れをなすキノコの兵隊をかわしながら、細道を選んで駆け抜けていた。あの図体なら追いかけてこられないだろうと踏んでいたが、周囲の木々をなぎ倒してついてくる執念深さには頭が下がる思いだった。 さっき服を一着ダメにされたため、なるべくキノコの兵隊との接触を避けて歩いていた。しかし逃げの一手は雪だるま式に追跡者を増やしてしまった。 細道を選ぶということはカオリ自身も険しい道を行くということだ。道中で戸惑っては距離を縮められてしまう。気づけばカオリ自身も全力疾走だった。 疲労感でクラクラする。カオリは頭を押さえながら走った。 先ほどのエッチな寄生植物に絡みつかれて記憶を失うと、そのすぐ近くで裸のまま目を覚ました。誰かが助けてくれたのかと思いつつ、同時に裸を見られたのではと覚醒するなり飛び上がってしまった。しかし例の蔓たちは急激に枯れてしまっており、自滅したように思われた。カオリの体内に植物にとって有害ななにかがあったのか。しかし途中まで明らかにこちらの力を奪い取ってしまっていたが……。 と、今はそれどころではない。 走り込んだ先はスケートボードの競技用プールのように高く反り上がっていた。これを乗り越えられるだろうか? 蔓を伸ばしても掴まれそうなものが見当たらない。 今さら木に化けても気づかれるだろうか? カオリはちらと後ろを振り返る。一目散に駆けつけてくるキノコたち。その距離はもう10メートルを切っていた。バキバキと地面に転がった折木を粉々にする音が徐々に近づきつつある。 やるしかない。 カオリは帯刀に手を伸ばした。 いや、きっとやれる。服の汚れさえ気にしなければ……。 8体並んだキノコの兵隊たちは低木を薙ぎ倒しながら距離を詰めてくる。