どよめきが起こった。 殿に控えた騎士たちは驚きの眼でその柱を見ていた。ひとつ、ふたつ、3つ。10メートルはありそうな岩の柱が墓標の如く平原に鎮座している。 「あれは……!」 ひとりの魔術師が腰を抜かして尻もちをつく。カオリは慌てて近くに駆寄ろうとした。 カオリは騎士たちに話を聞こうと南門の前へ来ていた。しかし騎士たちはけんもほろろに突き放してきた。挙げ句「このことは口外するな」と意味不明な脅し文句も忘れなかった。これではなんの話かわかったものではない。騎士団の周章ぶりが露呈した瞬間だった。 「どうした!」 先に駆け寄った騎士が尋ねる。魔術師は震える眼で声を漏らす。 「あれは、ピラーズ・オブ・クリエイション……」 魔術師が指差したのは3つの柱。 「なんだって?」 「文献に伝わるだけの古の魔法だよ。使いこなせる者が現れず、今は忘れ去られてしまった地属性魔法だ」 「そんなにすごいのか? 上級レベル魔法か?」 魔術師は首を横に振った。 「そんなレベルじゃない。私は未だかつてあれほどの術者を見たことがない」 その時柱が光りだした。右の一柱だ。震えるように輪郭がぼやけ、今にも爆発しそうに見える。 「まずい! 破裂する!」 魔術師が地面を這いながら前へにじり出た。 「みっ、みんな逃げろー!!!」 平原に声が谺していく。カオリは唾を飲み込んでただ震えていた。 助けに行かなきゃ。でも、ここからでは間に合わない。それでも……。 意を決して走り出したとき、中央の柱も光り出した。 そして右側の柱が、爆ぜた。 (第11章 終わり)