「返事しなさいよ! マックレア! 起きて! ねぇ起きて!!」 エレーナの声が響き渡っていた。 何もかもがなくなっている。舞い上がった砂埃に息が苦しくなり咳が続いた。 先程までの死者の行進は突如現れた石柱の爆発で途絶えている。地面が大きく噴出したことも手伝って次の波までには余裕があった。 しかし……。 エレーナは力なく地面に座り込み、マックレアの頬を両の手に挟んで揺すり続けた。 何が起こったのかわからない。 ただ、巨大な石柱が突然現れただけだ。そして……いきなり破裂した。 「マックレアっ!」 やはり返事はない。瞼は重く閉じられていた。 石柱が光り出したあの瞬間、マックレアはエレーナの前に飛び込んできて最大限のバリアを張った。広がっていく青い障壁。マックレアは雄叫びのように声を張り上げていた。 マックレアはエレーナと近隣の仲間を守ったのだ。それだけだ。 命に換えても守る。 そう言って見たこともないほどの大きさの盾を展開したマックレアは、爆発を受け止め切るなり落石の地鳴りに紛れてそのまま気絶してしまった。 意識を失う直前、マックレアが息を切らしながら「くそ……っ……」と呟いたことが耳から離れない。 とてつもない威力だった。マックレアの盾が及ばなかった場所では多くの屍人たちが一瞬にして消し飛んでいた。おそらく……騎士団の何人かも……。 エレーナは首を横に振る。今その可能性を考えれば戦えなくなる。 エレーナはゆっくりと立ち上がった。 退路はない。戦うだけ。 私はマックレアのような純正の騎士じゃない。王宮の魔術師として国には仕えているけれど、死ぬとわかっていて王国に尽くすような堅物にはなれない。 だけど、今この男を助けられるのは自分しかいない。 国のために命は捧げないけれど、どうしようもなくバカな幼馴染みを守るためになら戦える。 エレーナは再び杖を構えた。 本当は本丸に突っ込んで10倍返ししたいところだが、今この場を離れればマックレアが危ない。 「あーもう腹立つ! 覚悟しなさいアンタたちっ!」