ソフィアとは生活の困りごとについていろいろ話をした。お金は自警団の仕事を手伝うことでもらえることになったが、生活に必要なものは村人の好意に甘えている現状がある。 今朝のようにモンスターを倒すのに毒を用いなければ、素材や食材として剥ぎ取ってる売ることも可能だと教えられた。今後は猟師のような仕事をすることになるかもしれない。 実は植物を成長させる能力は野菜などにも使用できるのだが、体力的な問題なのか実をならせるほど育てるのは1日せいぜい1株が限界であり、売りに出せるほどではなかった。 着るものは今のところソフィアのお古を譲ってもらっているが、近く自分でも買う必要が出てくるだろう。 幸いソフィアとは背格好が似ていたために問題なく着ることができた。彼女の好みなのかスカートはどれも丈が短いが、デザインは可愛いので許容することとする。ふたり揃っている時に風属性魔法の使い手に出遭わないことを祈りたい。 また入浴に関しては、清潔にしていたいのならば川などで水浴びをすることを推奨された。幸いこの辺りは水源豊かなため、人に見られにくい場所と時間帯を選べばいいとのことである。数日前風呂に入ろうとして湯を沸かしたのだが、危うく火事になりかけたためにダンクスには「しばらくは我慢な」と止められてしまっている。 そして話しているうちに日が暮れ始めた。 「さあ、そろそろ行きましょうか」 窓越しに外を見ていたソフィアが立ち上がる。弓使いの美少女に緑色の召し物。これがテレビゲームならエルフキャラのテンプレなのだけれど。 彼女を眺めながら思う。テレビゲームのイメージを植えつけられ過ぎだとは思うが、この世界がそれらに酷似しているのは事実だ。テレビゲームの美少女はみんな大きく胸元の開いた服を着ていて色気がすごいけれど、彼女はそうではない。なんだろうすごく安心感がある。 もっとも考えごとをしていて裸で外に飛び出したり、変身すれば裸体をさらしてしまうお色気要員ならもういるのだが。 カオリは深い溜め息を漏らした。 「カオリさん、悩みでもあります?」 お互い呼び捨てにしようと言っても「年上ですから」と、彼女は未だに敬語で話し続けている。 「ううん。思い出したくない過去を思い出していただけ」 「はい?」 「それよりもう行くの? 私の歓迎会は嬉しいんだけどさ、私は未成年だからお酒飲めないんだよね」 「何言ってるんですか。スィメア国の法律では飲酒は18歳からですよ? カオリさんって19でしょう?」 「あ、そうなんだ」 それもそうだ。日本は20歳からだが、世界的に見ればもっと早い国はいくらでもあったのだ。 「私ってお酒飲んだことないんだよね。よし、今日はチャレンジしてみよう!」 短大で女子学生の多かったカオリの在席校では、そこまで飲み会は多くない。未成年なのでそもそも飲んではいけないのだが、仮にあちらの世界で成人していてもしばらくは飲む機会などなかっただろう。