ドリアードと会った森の広場よりもさらに奥。その先は王都まで続く道へと続いている。 しかし迷いやすい上にモンスターも生息しているためこの道を避けて遠回りする者の方が多いらしい。ただしモンスター自体はRPGで言えば最序盤のザコキャラクラスである。 朝のドタバタの後、カオリはソフィアを伴って森のパトロールに来ていた。最近は物騒になっているため、何も起こらないという保証はない。 「ほら、あそこから外に出られますよ」 ソフィアが森の奥の小さな光を指差す。なるほど確かに森の外で街道に繋がっている。 昼間でも薄暗いこの森を通って近道をしようとする人は少ないことだろう。カオリは今日初めてこの出口まで来たが、次ひとりで来いと言われても迷わない自信はない。 疲れちゃったな。 カオリはサンダルの先を地面につけて足首をひねる。長距離を歩くには適さない履物だ。 「この先をずっと行けば王都です。歩いていくと時間がかかるので、馬車を使うのが一般的です。あ、ほら見てください。ちょうど行商の人がやってきます」 「えっ? どこどこ?」 光の向こうはただただぼやけて見える。 視力検診判定Bのカオリと森の民であるメルクマンサの村人とでは視力に大きな開きがあった。眼鏡をかけているソフィアですらカオリより視力が優れているというのはいかがなものだろう。もしかしてダテ眼鏡なのかしら? 結局よく見えるところまで10メートルは歩いていくはめになった。 確かに行商の荷馬車が近づいてきていた。黒い馬がよろよろとこちらへ歩いてくる。馬もさすがに疲れているのだろうか。 しかし馬車の羈絏(きせつ)を引く男が突如身を乗り出し、驚いた馬が歩を止める。嘶きとともに身体が震え、その振動に馬車がぐらついた。 一瞬カオリはなにが起こったのかわからなかった。カオリの姿を見つけて驚いたように見えたが、どうやらそうではないらしい。 カオリは黙ってまた数メートル進む。 「カオリさん、どうしたんですか?」 カオリの動きを不思議がるソフィア。しかしソフィアの視力ならそこからでも状況が把握できたようだ。 「あれ、モンスターですよね? 危ない! 助けないと!」