(2)




「それにしても、彼女の保護をどうしましょう?詳細情報の秘匿は必須ですし」
「留置所も空いてないなら、俺の家しか無ぇな。後でマーカスに連絡しとかねぇと」
「「「え…!?」」」
「あ、あの、警部補?」
「何だ?」
「……一目惚れでもしたんですか?」
「ハァッ!?」
「だって!あの警部補が!」
「どれだよ」

喧しくなる取調室。

「…文句はあの幾何学ハゲに言え。俺等の現場にぐだぐだ口出すなってな。とりあえず書類できるまで、家政婦として住んでもらう。後は彼女の判断に任せる」
「分かりました!」
「遊びに行くからね〜」
「来んな!」

戸籍やパスポート、HLで生活していくための諸々の書類ができるまで。仄華は警部補の家で保護してもらうことになった。

「双子の弟がいるんだ。事情は説明しておくから、あんま怖がるんじゃねえぞ?」
ブラザー?…
「あ、警部補。これをどうぞ」
「電子辞書?」
「はい。このモードを切り替えて…よし。このマイクに話し掛けると、英語を日本語に変換してくれるんです。通訳の勉強の時によくお世話になりました」
「いいのかメリッサ?」
「新しい機種を買いましたので大丈夫です。大事に使ってくださいよ〜思い出の品なので」
「あぁ、分かった。ありがとう」
「じゃあ方針が決まったところで、仕事に戻りますか!」
「うわぁ〜書類の山が札束だったらいいのに〜!」
「始まったよ。ヴァンの愚痴が」
「他の奴等も頑張ってるだろうから何とかなるだろ」
「とりあえず、仕事終わるまでこのまま取調室に入っててもらうか」

警部補は早速辞書で仄華もといツバキに話しかけた。

『"これから俺達は仕事をしなきゃいけない。時間がかかるし、この街は物騒だからな。事件が起きたら出動する必要がある"』

彼女は頷く。
翻訳が正常にできていることに安堵しつつ、話を続ける。

『″あまりにも遅くなるなら取調室に泊まってもらうが、可能であれば弟に迎えに行かせる。顔見たらすぐに分かるから安心しろ″』

彼女は何度も頷いた。
自分の言葉を理解したことを確認して頭を撫でると、今度こそ彼は取調室から出ていった。
彼の部下達もそれに続く。
去り際にseeyouと声を掛けてくれる彼等に手を振り終えると、仄華は一人静かに部屋で暇を潰し始めた。
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