隣の丸山さん。
『おはようございまーす!』
「あ、丸山さん、おはようございまーす」
『寒いっすねー。随分薄着とちゃいますー?』
「そうですか?私、寒さ意外と平気で!」
『ならええけど、風邪は引かんとってくださいよー?』
あーもう、なんて優しいんだろう。
『鼻声ちゃいます?』とか
『髪切りました?似合ってる!』とか
いつもいつも気付いてくれたり、戸締りのこととかも気にかけてくれる隣の丸山さん。
本当は私のこと好きなんじゃないの?とか思ってみたりもしたけど、どうやら違うらしい。
こっそり立ち読みした丸山さんが載っている雑誌で、メンバーのみなさんは
『丸はよく気が付く。みんなのことをよく見ていて関心する』
と言っていた。
つまり私も、その他大勢の一人なのだ。
それでも、やっぱり気にかけてくれることは嬉しいし、言われる度にドキドキしてしまう。
次の日の朝、玄関を出るとまたも丸山さんに遭遇!ラッキー!最近は毎日会えていて朝からテンションが上がる。
私を見付けてニッコリ笑った丸山さんにきゅんとしてしまった。
『おはようございます!よう会いますね!お隣さんやから当たり前やけど!』
「丸山さん最近ずっと同じ時間なんですね。私の通勤時間と一緒」
『...そうですねー。毎日#name2#さん見送ってる気がしますわ!...行ってらっしゃいませ、お嬢様』
「あは、執事みたい!じゃあ行ってきまーす!...あ、マフラー、」
マフラーを忘れて来た事に気付いて、家に戻ろうと一歩踏み出すと、丸山さんに腕を掴まれた。
驚いて止まると、丸山さんは自分が巻いていたマフラーを外して私の首に掛けた。その顔に笑顔はなく、驚きと緊張で黙ってしまった。
『これ、してってください、』
「...え、でも、」
『...ほんまは...待ってたんすよ、#name2#さんが出てくるの、』
「...え、」
『#name2#さん見送ってから、また家入ったりして。気持ち悪いすよね...毎日毎日、』
「え、そんな、!」
『すんません、』
「...丸山さん、嬉しいです、」
『...は?え、何、?』
「わざわざそんなことしてくれてたなんて...嬉しいです!」
『ま、まじ、すか、』
「あ!電車、遅れちゃう!あの...また、後で!」
『あ、い、いってらっしゃいっ!』
丸山さんに笑顔で手を振って、ドキンドキンと大きく跳ねる胸を押さえて走り出すと、後ろから
『っしゃーーーっ!!』
という丸山さんの雄叫びが聞こえてきた。
振り返った私に気付いて
『いってらっしゃーーいっ!!』
と大声を上げブンブンと手を振る丸山さんを見て笑って手を振り返した。
End.
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