euphoria


Yellow


全く考えていなかったわけではなかった。そうなるのかも、って、ちょっと思ってたのに。

『はぁ?どういうつもりや!』
「そっちこそ!」

家に着いた途端、甘いムードなんか無しに急に脱ぎ出すから、ちょっとびっくりしただけ。亮は、女の子を大事に扱うイメージだっただけに、私だけ蔑ろにされてるんじゃないかと思ってしまった。

『普通ヤるやろ!この状況でヤらんわけないやん!』
「...しない」

だってこれじゃあ、本当にヤるだけの女じゃない。ワンナイトラブの予感しかしない。
...好きなんだもん。最初はそれでもいいかと思ったけど、こんな扱い、やっぱり虚しいだけ。

『お前が誘ったんやろ!』
「誘ってない!」
『...ヤらせろや!』

ちょっとちょっと、なんて直接的な言葉...。
バカじゃないの!...って言ってやりたいのに、それなのに、ムキになっている亮は唇が尖っていて若干目が潤んでいるから強く突き放す言葉が口から出てこない。

「嫌、」
『ええから脱いで!』

なんでそんなに眉を下げて必死になるの。亮なら綺麗な女の子が周りにたくさんいるじゃない。なんで私に対してそんなに一生懸命なの。...期待はしたくないのに。

瞼が熱いから泣いてしまうかと思った。でもまだ視界はぼやけていないから、大丈夫。

『はよ脱いでって!』

亮が私の目を見て動きを止めた。その後に唇に視線が下りる。...あ、やばい。泣くより先に、唇が震えちゃった。

ますます眉を下げた亮が私を抱き締めた。包み込むように背中に回った腕が少し震えている気がする。

『...ごめん、』

消えそうな謝罪はどんな意味が含まれるんだろう。抱き締められた意味はなんなんだろう。

『...焦ってもうた、』
「...何が」
『...はよ、俺のもんにしたくて』


End.

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