Blue
...さっきから思ってたけど、なんかおかしい。
『どーしたん?』
「..............。」
なんで寝室にティッシュ持ってったの?なんでバスタオルふたつ用意した?今手に持ってる四角いピンク色のやつ、何?...コンドームとか、言わないよね?
思わず眉間に皺を寄せて伺うように章大を見れば、首を傾げて自分のポケットにピンクのソレを押し込みながら、笑顔で私に近付く。
『え、なになに?』
「...何するの」
私の言葉に笑みが消え、章大の目が真ん丸になった。キョトンと私を見た章大の口が少し開いたまま固まっている。
...なんか言ってよ、ドキドキしちゃう。
『え、...セックス...?』
...やっぱり。実際に章大の口から出たその言葉を耳にしたら、心臓が飛び出しそうな程バクバクして章大を見るので精一杯。
「...なんで」
『え、だって、家来たい言うから...』
...言ったよ。確かに言った。だって、好きな人がどんなとこに住んでるのか気になるじゃない?どんな生活してるのか、ちょっと知りたいじゃない?
「行ってみたいなぁ」『ええよー』だけの純粋な気持ちでした会話が、こんな風に発展すると思う?...章大とセックスなんて、これっぽっちも考えてなかった。
「..............。」
『..............。』
「..............。」
『...お願いヤらして!』
パンッ!と手を合わせる音に驚いて逸らしかけた目を章大に向けた。目を固く瞑り顔の前で手を合わせて私に訴えかける章大が、片目を開けて私の様子を伺う。
いやいや...無理だよ...だって今日、勝負下着じゃないし、ムダ毛、ちゃんと処理したっけ...?違う、そういう問題じゃない。付き合うとかそういうの無しで、ただヤらせるとかそういうの、...
「...嫌、」
開けていた片目をぎゅっと閉じて、また手を合わせ直す章大は必死過ぎて逆に可愛いかもとすら思えてくる。
『お願いしますー!もう準備万端やのにぃ...』
...私のこと、好きだったら考えなくはないけど...。
折れてしまいそうな自分を戒めるために章大に冷ややかな視線を向けた。
『...ダメ?』
「...........、」
『絶対...?』
「...........、」
戸惑っているうちに章大の腕が背中に回って引き寄せられ、顔が近付いて来たからドキリとする。数センチの距離で囁かれて、今にも唇が触れそう。
『...大丈夫、めっちゃ愛したるからな』
End.
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