euphoria


Purple2/2




『ここや!』
「あ、鍵貸してください。開けますね」

ロックが解除されてドアが開いた。肩を組んで、フラフラしている村上さんをそのままベッドまで運ぶ。
一度ベッドに倒れ込んだ村上さんは、肘で上半身を支えて私を見遣る。

「明日モーニングコールします?」
『おん。起こして』
「...大丈夫ですか、?...私、行きますね?」
『ちょっと待てや。話したいんやけど』
「...え、あ、はい。なんでしょう、」

もしかしてまた説教?さっき#name4#さんの部屋のインターホン押しちゃったこと...?
私をじっと見ていた村上さんがいきなり噴き出したから驚いた。

『なんちゅう顔しとんねん!』
「え、な、どんな顔、」
『俺かていつも怒ってるわけちゃうで』
「...わかってます、」

笑いながら顔を背けた村上さんの様子が少しおかしい。いつもと違う。
ちょっと待って、緊張してきた。

『自分気付いてるやろ?』
「...え、?」
『...好きやで』

避けていたわけではない。どうしたらいいのかわからなかった。あの日の村上さんの言動に期待してみたりしたけれど、ここまでごくごく普通に、何事もなく来てしまったから、こちらから気持ちを確認するわけにもいかず戸惑っていた。

固まっている私を見ながら立ち上がった村上さんが、私の前に来て立ったから慌てて俯いた。

『ずっとそんな態度やんか。ええ加減はっきりしてくれや』
「......すみませ、」

...いや、だって村上さんだって中途半端に...なんて言えるはずもないけれど、やっぱり嬉しくて、恥ずかしくて、ちらりと目を向けた。

『...どないやねん』
「...私も、好きです...」
『わかっとるわ』

はっきりしろって言ったくせに。わかってたなんて狡い。
あの時と同じ。いきなり首に腕を回され、いきなり唇が触れた。でも、あの時とは少し違う。続きがあるから。
私を真っ直ぐに見つめた村上さんが、今度はゆっくりと唇を重ねた。アルコールの香りと村上さんの香りに、私まで酔ってしまいそう。

『...もー、ほんっま待ったわ、』
「...すみません、」
『...もうええ』
「...はい、」
『言うとくけど、するで?...ずっと待っとったんやからな』

すごいセリフ!...なんて思っている間にベッドに押し倒されて村上さんが私を跨いだ。急展開過ぎる、けれど、本当は期待もしていた。

『...そんな怖がんなや』

私はどんな顔をしていたんだろう。優しく、柔らかく唇が触れた。
怖がってなんかいないのに。緊張してはいるけれど、嬉しくないはずがないのに。

深く絡みつくようなキスをしながら、いつもの村上さんから想像もできないくらい優しい手が私の髪を撫でた。



『#name1#でもそんな顔すんねや』

ゆるゆると腰を揺らしているだけなのに、酷く感じてしまっている。 体を見られるだけでも恥ずかしいのに、声を上げると面白そうに笑われるから尚更恥かしくて、固く目を閉じた。

急に瞼の向こう側が暗くなったから目を開けると、同時に唇が触れる。

『...あかん、もうずっとこんなゆっくりなん無理やで、っ』

私に気を遣ってくれていたんだ、と思う間もなく、急に激しく律動が始まり苦しいくらいの圧迫感と快感に村上さんに縋り付く。私の髪をくしゃりと掴み、快感に顔を歪める村上さんが私の体を大事そうに、きつく抱き締めた。

漏れた声を恥ずかしいだなんて思う余裕はもうない。
体を起こした村上さんが私の足を抱えて奥を突き上げるから、シーツを握り息を詰めたまま達した。

『...早いわ、』

呟くように言った村上さんが、動きを緩めてくれたけれど、それでも達したばかりの体には強過ぎるくらいの刺激。目を閉じたままでいると、与えられる快感に意識を手放してしまいそう。
キスを落とし頭を撫でられ、目を開けるとなんとか意識を手繰り寄せた。

『我慢しといてな?俺全っ然、まだやで、っ』

言い終わらないうちに再び始まったより早い律動に体が跳ねる。腰を抱いてさっきよりも奥をひたすら突き上げられてまたすぐに絶頂の波が押し寄せてくる。

『いつもは、こんなせっかちちゃうで、っ』

その言葉の意味を考える余裕はない。ただ強く村上さんの手を握って快感に耐えていた。

『お前のせいや、っ』

ひくりと体が跳ねて快感の波に攫われると、強く抱き締められて額に唇が触れた。荒い呼吸も快感に歪む顔も、そうさせているのが私だと言う事実に泣いてしまいそうなほどの幸福感で満たされた。


End.


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