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“ 今日、来れる? ”
このメッセージを作成してから送信するのを躊躇って、もう5分は経っている。この瞬間ばかりはどうしたって緊張してしまう。ソフレの章大を自分から呼ぶのは、まだ3回目。
一人なのに、せーの、と呟いて送信ボタンを押した。
早まった鼓動を落ち着けようと、目を固く閉じて深呼吸。
こんなことで緊張していたら、一生告白なんて出来ない。...するつもりもないけど。一緒に居られなくなるくらいならソフレで構わない。章大の生活の中に、私と二人だけの時間があることが嬉しいから、それで充分。
私は、章大が今仕事をしているのかどうかさえも知らない。いつ返ってくるかわからない返信にそわそわしながら、静かな部屋でひとり膝を抱えた。
暫くして震えた携帯を慌てて掴むと、着信中の表示が出ていたからドキリとした。メッセージではなく電話だったから、断られる予感がした。
「...もしもし」
『メール、見たー』
それでも、携帯から聞こえる愛しい声に胸が熱くなる。電話なんて今まで数える程しかしたことはなかったから、特別な気さえしてくる。
「...あぁ、うん...」
『今な、都内ちゃうねん』
...ほら、ね。絶対そうだと思った。だから、大丈夫。予想していたんだから、大したことない。
『...せやから、行かれへんわ』
電話の向こうの章大の口調が、いつも以上に優しい気がしてますます恋しくなる。...会いたかった。
「...そっか、わかった...」
急だったしね、とフォローするように入れた言葉に返事はなくて、章大が黙っているから少し不安が過ぎった。
『...あのさ』
「...え?」
さっきまでのトーンから少し低くなった章大の声にドキリとする。
また黙ってしまった章大の言葉を待つけれど、緊張して携帯を握る手に力が入った。
『...他の奴呼ぶとか、ナシな?』
思わず一瞬呼吸を止めた。その意味を理解して口を手で覆うと、自分の手も唇も震えていた。
『明日、行くから』
頷いていた。章大からは見えないのに、声が出なくて何度も頷いた。
『俺が、絶対行く』
噛み締めた唇から震えた息を吐き出すと、章大が囁くように言った。
『俺の代わりはいらんよ』
End.
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