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...もしかして、隆平って、私のこと好きなのかもしれない。
今までもそう思うようなことがあったけれど、自惚れたらいけないと思ってなるべく考えないようにしてきた。
けど「風邪引いた」と言ったら『ヤバイやん』と返事が来てわずか30分でインターホンが鳴り、症状なんて何も話していないのに風邪薬にフルーツにゼリー、レトルトのお粥なんて買って来てくれちゃったんだから、さすがに自惚れてしまう。
『しんどい?大丈夫?』
ガサゴソと買い物袋を漁って『スポドリ忘れたぁぁ!』と盛大に悔やんでいる隆平を膝を抱えたまま見ていると、こっちが申し訳なくなるくらい眉を下げて謝る。
『ちょ、買ってくる!』
「え、ま、待って!」
座ったまま呼び止めると、振り返った隆平がにっこりと笑って私の頭にポンと手を置いた。
『大丈夫。すぐ戻るから』
...何だかもう、付き合ってるんじゃないかという感覚に陥ってくる。隆平は優しいしすぐに触れるから、もう私のものなんじゃないかと思ってしまう。
「...いい。行かなくて」
『え?』
「熱ない。さっき計ったし」
目を丸くして驚いたような顔をしているところを見ると完全に、風邪=熱と勘違いしていたみたいだ。
私の前に膝を付いて座った隆平が、私の顔を覗き込むからドキリとした。
『どれ』
髪をふわりと撫でた手に頭を引き寄せられていきなり額をくっつけられたから心臓が飛び跳ねた。
...熱、上がったみたい。顔が熱い。
でも、くっついたおでこの熱は私と大して変わらないように感じる。
「...おでこでわかる?」
『熱言うたらこれやろ』
照れ隠しに言ってみれば、目の前の隆平が笑って唇に吐息が掛かるからドキドキしてしまう。
額が離れて首を傾け、また私を覗き込んだ隆平の顔を見られずに鼻を啜った。
『少し熱いなぁ顔も赤いし』
「...さっきはなかった」
...顔、赤くなったの気付かれちゃった。恥ずかしい。でもドキドキした。嬉しかった。
『さては俺とおでこくっついて照れてんねやな!』
からかうように笑った隆平に視線を向けると、私を指差したその手の向こう側に見える隆平の顔が真っ赤に染まっていた。
...何それ。狡い。可愛い。
「...真っ赤なのは隆平だよ」
『...え!』
目を丸くして頬を掌で覆った隆平を見て思わず笑みを零すと、更に耳まで赤く染めて目を逸らした。
『ご、ごめん、』
「...なんで謝るの」
『...や、なんて言うか、こんな時に、...ごめん、』
「...何それ」
隆平が顔を手で覆ったから表情は見えないけれど、まだ赤い耳を見て胸が高鳴る。
『...好き、です...』
掌で遮られて篭ったように聞こえてきた隆平の声が、胸を甘く締め付ける。ちらりと指の間から覗いた伺うような瞳が愛しくてお返しに愛の言葉を呟けば、ふにゃりと笑った隆平に引き寄せられてますます体温が上がった。
End.
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