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ベッドサイドのオレンジの照明だけが控えめに灯る薄暗い部屋の中、今日もトクントクンと少し早い鼓動のせいで眠れずにいた。
何度隣に寝ても慣れる事はない。昨日もこうしてソフレとして同じベッドに入っていたのに。
右腕には、じわりと体温を感じるけれど、その体温が故意に直接触れることはない。眠りに落ちた章大が寝返りを打ってその手が触れようものなら、一気に心臓が飛び跳ねるくらいだ。
『...なぁ』
突然隣の章大が呼び掛けるからドキリとした。
『...寝た?』
「...んーん」
静かに目を開けてちらりと章大に目を向ければ、照明のオレンジ色に照らされた章大が顔だけを私に向けていた。
今までベッドの中で会話を交わすことはあまりなかったから緊張してしまう。いつも不安は付き纏っていて、終わりの言葉を恐れている。
この動揺が伝わってしまいそうで自分から目を逸らした。
『あのさ、ダメ元で言うてみてい...?』
「...何?」
章大がゴソゴソと布団の中で動いて体ごと私の方を向いた。横向きの章大の目が私の横顔を見ているかと思うと、ますます緊張してしまう。
『昨日までな、我慢出来てんけどな、』
酔った時のような妙に甘えたような喋り方。ちらりと視線を向ければ、アーモンド型の目が伺うように上目遣いで私を見ていた。
「...うん?」
『ちょっと無理っぽい』
苦笑いのような笑みを浮べて私から目を逸らした章大の目が泳ぐ。布団の中から出てきた手は落ち着きなく口元に触れていた。
「...何が...?」
普段見ることのない章大の様子に戸惑う。
...我慢。...我慢って...
『ムラムラしてもうてる...』
「え、」
『...エッチ、したいなぁ...』
照れたように、申し訳なさそうに呟いた章大を呆然と見つめた。私に返ってきた視線はまた伺うように私を見つめ、驚く私に苦笑いを浮かべる。
『...信用、してくれてたやろ...?』
「...え、」
『...ごめんな?』
何を言われているのかよくわからない。頭が混乱して何も考えられない。
『...ほんまはな、最初から、』
開き掛けた口を閉じて目を逸らし、ふっと息を吐き出した章大の落ち着かない様子を見て、心臓が信じられない程早鐘を打つ。
章大の目が私に戻ってくると、噛み締めていた唇が開かれた。
『...好き、やった』
End.
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