euphoria


05



04の続編。
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女の子と手を繋ぐ章大の後姿を見つめていた。息が詰まるみたいで呼吸が苦しくて、胸も締め付けられるように苦しくて、ただその2人の後姿を見つめていた。いつか見た光景だ。
...いつか、見た?...今じゃない。だって章大は昨日、私に...。

『おはよぉ』

ゆっくりと目を開ければ触れていたらしい唇が離れ、すぐに大きく息を吸い込んだ。それを見て章大が笑う。
朝日にキラキラと光る金髪が私の顔を擽る程に至近距離で章大が私を見つめているから、さっきの光景が夢であったことに安堵せずにはいられない。

『まだ寝ててええよ?』

少し二人の間に距離を作って覗き込むように私を見た章大が、髪を梳くように撫でて目を細める。

「…そんな口塞がれたら寝てられないよ、」

照れ隠しの言葉で安堵をも隠した。すると、んふふと声を出して笑いながら、再び唇が優しく合わせられた。離れるのを惜しむように三度啄むようにキスをして、章大が私を抱き寄せる。

『…我慢出来ひんかった』

悪戯っ子のように幼い笑顔を見せる章大が愛しくて、この笑顔も密着する体温も全てが自分のものになったのだと実感したら、幸せで堪らなくて思わず章大に縋り付いた。

そんな私に笑って、ポンポンと叩くように頭を撫でて私の顔を覗き込むから、妙に恥ずかしさが込み上げて目を閉じた。

「…おやすみ、」
『え!寝る?』
「寝てていいって言ったじゃん」
『言うたけどぉ…』

章大の首元にくっついて顔を隠せば、拗ねたみたいな声で抗議するように語尾を伸ばす。それなのに腕はしっかりと私の背中に回って抱き締めながら髪に顔を埋めるから、思わず口元が緩んだ。

『…シたかったのに…』

ボソリと呟かれた言葉にドキリとする。より一層腕の力が強くなって私を締め付けながら体を揺するから顔を上げた。拗ねた口調のわりにふわりと笑って私を見ていた章大に、そのまま唇を奪われて体を跨がれた。

『...終わってから二度寝しよ。な?』

言葉を発する間もないほど性急に舌が絡められて体を章大の指が這った。
拒むつもりなんてないのにしっかりと強く抱き寄せるその腕が、私が彼のものになった証のようで胸が甘く締め付けられた。


End.

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