euphoria


Warmer


今日はこの冬で一番寒い日なんだそうだ。さっき帰って来た章ちゃんが言っていたけれど『渋やんが言うてたからほんまかどうかわからん』らしい。
けれど、低めに設定してあるエアコンが今日はよく働いているし、それでも部屋が温まらない気がするから本当なんだろう。

ソファーの上でブランケットを被り膝を抱いて座る私の隣に、部屋着に着替えて薄手の毛布を持った章ちゃんが腰を下ろした。広げた毛布は私の肩に掛けられ、章ちゃんもくるりと回転して毛布の中に二人で収まる。

『寒ない?』
「...寒い」

縮こまる私を見てテーブルの上のエアコンのリモコンを掴み温度を上げる。そして私の飲み掛けのミルクティーに目をやった章ちゃんがそれを手に取り飲み干すと、『冷た、』と笑って私に擦り寄った。

『もう1枚着たら?』
「...持って来て♡」
『嫌や寒いもん』
「ケチー」

わざと拗ねたように見せながら立ち上がると、章ちゃんが私を見上げる。

『あ、待って』
「ん?」
『ついでに俺のパーカーも持って来て♡』
「嫌」
『ケチー』

二人で笑えば、するりと手首を掴まれて章ちゃんが毛布ごと立ち上がる。

『...もうさ、一緒にベッド行こ。...な♡』

覗き込むように首を傾けた章ちゃんをちらりと見れば、毛布で包み込むように後から私を抱き締める。

「寝室、まだあっためてないよ」
『大丈夫やろ。すぐあったかくなるもん』

章ちゃんの手に引き寄せられるままに向きを変えて髪を撫でられると、私達を覆っていた毛布がバサりと章ちゃんの肩から滑り落ちる。

『ここでもええけど』

ふっと息を零して笑った唇が優しく触れた。啄むように何度も唇を重ねながら腕を引かれソファーに押し付けられると、毛布を拾い上げて章ちゃんが背中から被る。その中で私を包み込むように抱き締めながら首筋に歯を立てるから僅かに体が震えた。

『あは、もう体温上がってきた』

裾から入って素肌に触れた手が背中を撫でる。その言葉でさらにカッと体温が上がった気がして顔を逸らすと、笑みを浮かべた章ちゃんが追い掛けるように私を覗き込んだ。絡んだ視線はもう熱を帯びていて、触れた唇が深く合わせられるとさっきよりも高くなった章ちゃんの体温に溶かされてしまいそうで目を閉じた。


End.

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