euphoria


01


お腹、痛い。怠いし、何となく腰も重い。もうすぐ生理が来そう。

大して具合が悪いわけではないけれど保健室へ向かう。行く理由が出来たことで、お腹の痛みなんてほとんど感じなくなってしまったけれど、それには気付かないふりをして。

保健室のドアの前に立ったら、中から愛しい笑い声と聞き覚えのある豪快な笑い声が聞こえて、入るのを少し躊躇った。けれど折角来たのだしと思い直してドアをノックした。

「失礼しまーす、」

室内に入ってドアを閉めると、二人の目が私に向く。安田先生がニッコリと笑って私に言った。

『#name2#さん、どうしたん?具合悪い?』
『それはないわ!さっきまでむっちゃ騒いどったもん!』
「...いつの話よ、」

先生に右手を差し出して、中指にぐるぐると包帯を巻かれている大倉が笑った。確かに一時間前に、大倉たちと教室で大爆笑していたのは私だけれど。

「...お腹、痛くて」
『生理やろ』
「うっさい」
『大倉はそういうこと言わんのー』
『へーい』
『薬あるよ。飲む?』

柔らかい話し方にトクンと心臓が音を立てる。
けれど大倉がニヤニヤして私を見るから、頭をバシッと叩いた。

『痛っ!なんやねん!』
「キモイ!」
『もー...。#name2#さんもそんなん言わんの』
「...はい、」
『はい、大倉終わり』
『えー、もう終わったん?...早、』
『少し指切ったくらいで授業サボらすか!そこのノートに名前書いて戻って。#name2#さん、ベッド行っとき』

不貞腐れたように立ち上がった大倉が、私の立っているすぐ横にある机に乗った鉛筆に手を伸ばす。
薬の箱をゴソゴソと漁る先生を眺めていたら、大倉が私の肩を叩いた。

『中指曲がらんから書かれへん。書いて』
「えー、」
『狡いわぁ。#name1#ばっかし、』
『女の子はデリケートやのー』
『俺中指使えへんとかめーっちゃ不便やのに...』
『明日には取って大丈夫やて。大袈裟!』
『大問題やで!ペッティングに影響が...』
『そういう話は男だけでせぇよ』
「...サイテー」

大倉に冷ややかな視線を向けて、渡された鉛筆で“おおくら”と名前を書き殴っていると、耳元に吐息を感じて弾かれたように大倉から距離を取った。

『俺は中指使えへんし#name1#は生理やし、今日はヤれへんなぁ』
『大倉!』

安田先生に注意されてもまだふざけて笑いながら保健室を出て行った大倉を見送ってベッドに座った。何となく気まずくて先生にちらりと視線を移す。薬を手にウォーターサーバーの水を入れた紙コップを持って先生が私の前に差し出した。

『薬、これやったよな?』
「...うん」

受け取って薬を含み水を飲み干すと、手から紙コップが奪われて先生がゴミ箱へ投げ捨てる。
振り返った先生はあからさまに不機嫌な顔で私を見たからドキッとした。

『もう生理なん?』
「まだ」
『...ふーん。...ちょっと隙見せすぎなんちゃうの』
「...え、」
『...なんやあいつ』

先生の手が伸びて来て頭に手が添えられ、片手で顎を持ち上げた。

『...腹立つわぁ』

ぶつかるように唇が触れ、角度を変えて唇を食んで先生が離れた。私を見る目はやっぱりまだ怒りを含んでいる。

「...ごめんね、」
『お前、普段から男とどんな話しとんねん』

至近距離で眉間に皺を寄せて、苛立ったように低い声を発した先生の肩を少し押して距離をあけた。

「...いつもじゃないよ、」
『...けど、あんな話、してんねや?』
「さっき、たまたま、」
『たまたまとか、どうでもええわ』
「...自分で聞いたくせに」

急にベッドに片膝を乗り上げ、肩を押してベッドに押し付けられた。噛み付くように塞がれた唇に先生の荒い吐息を感じて、怒りが伝わってくる。髪をくしゃりと掴む手に力が入って少し痛い。

『自分の彼女が性の対象にされるとか、むっちゃ気分悪いで』

無表情のまま暫くじっと見つめられ、もう一度キスが落とされた。今度は柔らかく舌が絡められたことに少し安心していると、先生の右手がいきなり太腿を這って下着の隙間から侵入し、私の中に指が挿し込まれた。突然の刺激にびくりと揺れた体を先生が押さえ付け微笑む。ゆるゆると中で蠢く指に小さく声が漏れたところでドアがノックされた。

『...残念。またあとでな』

するりと指を抜いて私に見せつけるように指を舐めながら、カーテンを閉めて先生が出て行った。
カーテンの外で聞こえるゆったりとした先生の声を聞きながら、疼く体を持て余して頬を染めた。


End.

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